相続・遺言コラム
2022.09.28
遺贈の登記が単独申請可能に~相続登記義務化へ向けた動き~
- 生前対策
- 登記
少し前に、「相続登記が義務化されます!」というコラムを書きました。
令和6年4月1日よりスタートということで、
普段から相続登記に関わっていない方にとっては「まだまだ先」感は強いと思います。
とはいえ誰しもがいつかは直面する「相続」に関して
「義務化」といわれると、やっぱりちょっと気になりますよね。
今回はこの相続登記義務化に向けて
令和5年5月頃までに簡略化される予定の
遺贈による所有権移転登記についてまとめてみました。
遺贈による所有権移転登記が単独申請可能に
これまで、遺贈を原因とする所有権移転登記は共同申請が必要でした。
共同申請とは、権利を失う人と権利を取得する人が共同して登記申請をすることです。
登記申請は不動産登記法60条で共同申請が原則と定められており、
「遺贈」による所有権移転登記もこの原則どおり共同申請が必要でした。
これに対して、同じ相続人に対する所有権移転登記でも、
原因が「相続」の場合は単独申請が可能です。
これまでは、遺言書の書き方ひとつで共同申請を強いられるのか
単独申請でいいのかという違いがありました。
被相続人から相続人に対して権利の移転が生じるという点では同じなのに、
手続きが大きく変わってしまうのはよくないよね、
遺言書を提出するなら、正しい登記だということは分かるよね、
相続登記義務化されることだし改正しようか。
という流れで遺贈による所有権移転登記も、単独申請できるようになりました。
改正された不動産登記法の条文はこんな感じになってます。
新不動産登記法63条 遺贈(相続人に対する遺贈に限る)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。 |
「簡略化」「単独申請が認められた」と喜んでますが、
単独申請と共同申請にはどんな違いがあるのでしょうか
遺言書の書き方によって「相続」になるか「遺贈」になるか
遺言書に書いている
「誰に」「何を」「遺贈する又は相続する」
この3つの組み合わせによって
登記原因が「相続」か「遺贈」になります。
続人全員に | 相続人の一部に | 相続人以外に | ||
「相続する」 | ①相続 | ②相続 | ③遺贈 | |
「遺贈する」 | 包括して | ④相続 | ⑤遺贈 | ⑥遺贈 |
特定の財産を | ⑦遺贈 | ⑧遺贈 | ⑨遺贈 |
詳しくは「遺言書の書き方にご注意ください」をご覧ください。
共同申請と単独申請の違い
「簡略化」という言葉から想像できるように、
共同申請に比べて単独申請は手続きが簡単です。
何がって、まず、義務者の協力が不要なところが大きな違いです。
そして必要書類にも違いがあります。
共同申請(遺贈) | 単独申請(相続) | |
被相続人の 権利証・登記識別情報通知の提出 |
必要 | 不要 |
遺言執行者(いない場合は相続人全員)の 印鑑証明書の提出 |
必要 | 不要 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍 | 必要 | 不要 ※被相続人と受贈者の相続関係を証する戸籍が必要 |
遺言書に関するご相談は司法書士まで
不動産をお持ちの方が登記を知らずに遺言書を作成すると、
被相続人が亡くなった後の登記手続きで
余計な労力は費用がかかってしまうことがあります。
遺された相続人のためにも、
遺言書を作成する時点で専門家の意見を聞きながら適切な遺言書を作成されることをお勧めします。
遺言書の作成、相続開始時の登記については専門家である
相続・遺言手続きセンターふくおか司法書士法人までお気軽にお問合せください。
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