相続・遺言コラム

2022.09.30

相続開始後10年経過すると遺産分割協議ができなくなるの?

  • 相続手続き

例えば、父親名義の実家があって、
2人兄弟の長男が同居していて、
父親が亡くなってそのまま長男が実家に住み続けた場合、
何となくそのままだらだらと父親名義のまま長男が実家に住み続ける。
これって、割とよくある話だと思います。

これまで相続登記は義務ではなかったし、
長男がそのまま住み続けることに他の兄弟も特に異議はなく、
住んでるんだから当然この家は長男のものだよね。
それに、あれでしょ、登記するのってお金かかるんでしょ。
しなくてよくない?このままにしておこう。

ってなってませんか?
しかし相続登記は義務化されます。
そして義務化に伴い、その周辺の法律もぽつぽつと改正される予定です。

今日は、令和5年4月1日に改正予定の遺産分割協議の期間制限についてです。

改正内容

内容はずばり「相続開始から10年経過後の遺産分割は、具体的相続分ですることはできないよ。」です。

具体的相続分とは

具体的相続分とは、特別受益や寄与分を反映させた相続分のことです。
特別受益と寄与分について簡単な事例をご紹介します。

特別受益

例えば、
被相続人:父
相続人:長男、次男
相続財産:2000万円
この場合、法定相続分で相続財産を分け合うと、
長男:1000万円
次男:1000万円
となります。

しかしこんな事情があった場合どうなるでしょうか。
父の生前、兄が結構する際に結婚支度金として500万円援助してもらった。
何か兄が得してるっぽな、という雰囲気は分かりますよね。
この「結婚支度金として500万円援助してもらった」のことを「特別受益」と言い、
相続財産から特別受益分を足した金額で遺産分割をします。
単純計算だと、
相続財産2000万円+特別受益500万円=2500万円
2500万円を兄と弟で半分こすると、2000万円の取り分はこんな感じになります。
兄:750万円(1250―500)
弟:1250万円

特別受益とは、先に得したぶんは、遺産分割のときにしっかり引かせてもらいますよってことです。

寄与分

同じ例でこんな事情があった場合どうなるでしょうか。
父の生前、兄が父の生活費として10年以上金銭援助をしており、
寄与分として500万円が認められた。
先程の特別受益とは反対で、兄の財産が父のために減ってしまっている状況です。
このように被相続人のために特別の貢献をした相続人に対して「寄与分」として
相続財産から多めに財産をもらいましょう。という制度です。

単純計算だと、
相続財産2000万円―寄与分500万円=1500万円
1500万円を兄と弟で半分こすると、2000万円の取り分はこんな感じになります。
750万円の取り分はこんな感じになります。
兄:1250万円(750+500)
弟:750万円

※上記はあくまで事例です。

結局、具体的相続分で分割できないとは

もう一度、今回の改正内容は
「相続開始から10年経過後の遺産分割は、具体的相続分ですることはできないよ。」です。

先の例のように、
父の生前に兄は特別の利益を受けてるからその分相続分の取り分を少なくしようね
父の生前に兄は特別な貢献をしているからその分相続分の取り分を多くしようね
といったことが、相続開始から10年経過するとできなるなりますよという改正内容なのです。
しかし何事にも例外があり、今回の改正にも10年経っても具体的相続分で分割できる例外が定められています。

例外

①10年経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき
10年の期間満了前6か月以内の間に、遺産分割の請求をすることができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅したときから6か月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき。

やむを得ない事由とは
例えば長らく生死不明であった被相続人の遺体が発見されたが、10年以上前に遭難して死亡していたことが判明した場合など。
らしいです。
ちょっとあまり想像できないですが、この辺りは個別判断になるようですね。

10年経過するとどうなる?

10年経過後は、例外を除いて
法定相続分又は指定相続分の割合により遺産分割をすることになります。

考慮すべきことが減り、円滑な遺産分割が期待できるといったところでしょうか。

改正の狙いは?

これまで遺産分割には期間制限がなく、そのまま放置しても相続人にただちに不利益がなかったため、
早期解決への動きがいまいちだった、、
それによって所有者不明土地が増えてしまって活用などができなくなるなどの不都合がでてきてしまった。
そこで、遺産分割の早期解決を目的として期間制限を設けたようです。

因みに、遺産分割する前の相続財産は、
「遺産共有」という状態になります。
この遺産共有は、共有している相続人全員の意見が一致しないと不動産の処分などができず
結局面倒だからそのままにしようか、、
そのままにしてるうちに相続人がどんどん増えて今となっては誰が共有者か分からないよね。
所有者不明不動産だね。といった状態になりやすいのです。

 

相続・遺言手続きセンターふくおか司法書士法人では、
相続開始後のお手続きだけでなく、
相続開始前の遺言作成は信託契約など幅広い業務に対応しています。

相続でお困りのことはふくおか司法書士法人までお気軽にお問合せください。

相続・遺言問題でお悩みの方に
正確で確かな「解決力」を

相続・遺言手続センター福岡は相続問題をワンストップで解決する相続・遺言の専門家集団です。
相続には期限や法的判断の難しい手続きも多く、専門的な知識が必要とする場合があります。相続・遺言の専門家に相談することで大切な資産を守ることにも繋がりますので、早めの対策が望ましいです。

  • 遺産相続に関する手続きを一括して任せたい
  • 土地や建物の名義変更の手続きをしてほしい
  • 相続手続き、何から始めたらいいのか分からない
  • 終活として遺言書を作成したい

など、相続問題は置かれている状況に応じて様々。相談者ごとに、一番最適なプランで問題解決に当たります。
私たちは相続・遺言の専門家として、相続問題にお困りのご家族に寄り添い、今後安心した生活を送れるようサポートします。

事務所案内

初回相談費用無料