相続・遺言コラム
2022.02.13
遺言書の書き方にご注意ください
- 生前対策
- 登記
遺言書の書き方によって、
登記申請内容が変わってしまう。
遺言書の内容によって残された相続人が負担する費用が変わってしまう可能性がある。
遺言書の書き方ひとつでそんなことになるなんて
遺言書を書いた方は夢にも思いませんよね。
「遺贈する」か「相続する」か
遺言書の書き方によって登記申請内容が変わってしまいます。
不動産の登記名義人が亡くなったときの2つの登記原因
不動産の登記名義人が亡くなると、
名義を変更する登記が必要です。
よく知られているのが「相続」を原因とする所有権移転登記です。
そしてもう一つが「遺贈」を原因とする所有権移転登記です。
遺言書の書き方によって、「相続」か「遺贈」が決まります。
では、書き方とは、具体的にはどういうことでしょうか?
遺言書の書き方
「誰に」「何を」「遺贈する又は相続する」
この3つの組み合わせによって、
登記原因が「相続」か「遺贈」になります。
組み合わせ表はこんな感じです。
続人全員に | 相続人の一部に | 相続人以外に | ||
「相続する」 | ①相続 | ②相続 | ③遺贈 | |
「遺贈する」 | 包括して | ④相続 | ⑤遺贈 | ⑥遺贈 |
特定の財産を | ⑦遺贈 | ⑧遺贈 | ⑨遺贈 |
基本的には、「相続する」「遺言する」の文言通りの登記となりますが
・相続人以外へ「相続する」とした場合は「遺贈」になります。相続人ではないので相続できないからです。(表中③)
・相続人全員に包括して「遺贈する」とした場合は「相続」になります。だって、相続人全員にすべての財産をあげるって、結局「相続」ですよね。(表中④)
事例①
Aが亡くなりました。
相続人はBCDです。
そして、Aはこんな遺言書を残していました。
この場合は、組み合わせ表の②にあたるので、
「相続」を原因として所有権移転登記をします。
事例②
Aが亡くなりました。
相続人はBCDです。
このときDが健在なので、EはAの相続人ではありません。
そして、Aはこんな遺言書を残していました。
この場合は、相続人以外の人に包括的に遺贈しており
組み合わせ表の③にあたるので、
「遺贈」を原因として所有権移転登記をします。
事例③
Aが亡くなりました。
既にDが亡くなっているので
相続人はBCEです。
そして、Aはこんな遺言書を残していました。
事例②と同じ内容の遺言書です。
しかし、相続関係が変わっています。
Aが遺言書を記載した当時、Dが健在だったのEは相続人ではありませんでした。
そのため、AはEに対して「遺贈する」と記載してしまったのです。
この場合は、特定の相続人に包括的に遺贈しており
組み合わせ表の⑤にあたるので、
「遺贈」を原因として所有権移転登記をします。
「遺贈」の登記で困ること
ここまで、遺言書の書き方によって
登記の原因が「相続」か「遺贈」になる。ということと、
その事例を見ていきました。
では、ここからは「遺贈」の登記で困ることをご紹介していきます。
先ほどの事例③では、相続人に対する登記にも関わらず、
遺言書に「遺贈する」と書いてしまっていたために
登記原因が「遺贈」になってしまいました。
共同申請になる
登記申請は通常、共同申請と言って
権利を失う人と権利を取得する人の共同申請で行います。
しかし、相続登記では相続人のみの「単独申請」で登記をすることができます。
この共同申請か単独申請かによって以下のような違いが出てきます。
共同申請(遺贈) | 単独申請(相続) | |
被相続人の 権利証・登記識別情報通知の提出 |
必要 | 不要 |
遺言執行者(いない場合は相続人全員)の 印鑑証明書の提出 |
必要 | 不要 |
せっかく遺言書を書いたのに、
結局相続人全員の印鑑証明書が必要だったり、
どこにいってしまったか分からない
被相続人の権利証を探すのは時間や労力がかかってしまいます。
住所が変わっている場合、住所変更登記が必要
相続登記では、被相続人の
登記されている住所と亡くなった時の住所が違っても、
そのまま相続登記をすることができます。
しかし、遺贈の登記は、まず住所の変更登記が必要です。
住所の変更登記は、不動産1個につき1000円の登録免許税がかかります。
さらに司法書士などの専門家に依頼すると
報酬もかかってきます。
まとめ
今回のコラムは、遺言書の書き方の注意点についてご紹介しました。
自筆証書遺言や、法務局での遺言書保管制度などもあり、
様々な形で遺言書を残すことができるようになりました。
しかし、せっかく遺言書を書いたのに、
無効になってしまったり、今回ご紹介した事例のように
手間や費用がかかってしまったりすると、悔やんでも悔やみきれません。
遺言書作成を検討されている場合は
是非一度ふくおか司法書士法人にご相談ください。
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