相続・遺言コラム

2022.08.29

養子縁組と相続

  • 相続手続き

つい先日、養子の男が養親である資産家を財産目当てで殺害した疑いで逮捕されるという事件が起きました。
小説やテレビドラマではよくある話ですが、
現実の世界でこういった事件が起こるとやはりそれなりの衝撃を受けます。
さらに容疑者が、扶養義務を免れるために女性の死後養子縁組を解消する「死後離縁」の申し立てをしていたとかいないとか。
事件の真相は分かりませんが、
今回はこの養子縁組制度と相続についまとめてみました。

養子縁組とは

養子縁組とは、血縁関係のない者同士を、法律の制度によって血縁関係を発生させることをいいます。
血縁関係になるとどうなるのか?というと、一番わかりやすいのが相続人になる。ということです。
資産家や経営者が「跡取がいないから養子をとる」って割と想像しやすい養子縁組だと思います。
また養子縁組をすると、相続人になるだけでなく、扶養義務なども生じます。

この養子縁組ですが、実は2種類あります。

①普通養子縁組
②特別養子縁組

先程の例で「跡取りがいないから養子をとる」というのは①普通養子縁組を指します。
一般的に、養子縁組と聞いて想像するのは普通養子縁組のことです。
では、この2種類の養子縁組はどんな違いがあるのでしょうか。

普通養子縁組と特別養子縁組

同じ養子縁組でも、普通養子縁組と特別養子線組は、そもそもの制度趣旨から違います。

普通養子縁組:相続人の確保など家の存続のための制度
特別養子縁組:家庭環境に恵まれない子のために家庭的な養育環境の提供や、子の利益を図るための制度

普通養子縁組が家の存続を制度趣旨としている一方で、
特別養子縁組は子の利益を図ることを制度趣旨としており、
同じ養子縁組と言っても全く違うもののように感じます。
そのため、要件や裁判所の関わり方も異なります。

普通養子縁組
相続人の確保など家の存続のための制度
制度趣旨 特別養子縁組
家庭環境に恵まれない子のために家庭的な養育環境の提供や、子の利益を図るための制度
20歳に達した者
独身でも可
養親側の要件 夫婦ともに20歳以上で、夫婦どちらか一方が25歳以上
配偶者がある者のみ可
年齢制限なし 養子側の要件 原則申立時に15歳未満であること
※15歳に達する前から養親候補者が引き続き養育している場合又はやむを得ない場合は15歳以上でも可
特になし 縁組するための要件 父母による養育が困難で子供の監護が不適当
当事者の合意により成立 縁組するための手続き 養親の請求により6か月以上の監護期間を経て家庭裁判所の審判が必要
存続する 縁組後の実母との関係 終了する
養親との続柄は「養子・養女」となる 戸籍への記載 養親との続柄は「長男・長女」などと記載される(実子と同じ)
当事者の合意によりいつでも離縁可 離縁について 原則、離縁することはできない。
※虐待など養子の利益のために必要がると認める場合のみ家庭裁判所の審判により離縁可。

養子縁組している状態で相続が発生するとどうなる?

冒頭に記載しましたが、養子縁組とは「血縁関係を生じさせる」制度なので、
養子縁組している状態で養親が亡くなると、
養子はその相続人として養親の財産などを相続することができます。

因みに、普通養子縁組では実父母との親子関係も継続されるので、
実父母の相続人にもなるし、養親の相続人にもなります。

しかし、養子縁組の場合、一般的な相続と異なる点もあります。

代襲相続できない可能性

一般的な相続だと、父が亡くなるとその子が相続人になります。
もし相続人である子がすでに亡くなっていた場合、
代襲相続という制度によりその孫が相続人になります。

これを養子縁組制度に置き換えると、
養親がなくなると、養子が相続人になる。
すでに養子が亡くなっていた場合、養子の子が当たり前に代襲相続することができるのでしょうか?

養子縁組と子が生まれた時期がポイント

養子の子が代襲相続できるのかどうかは、
養子縁組したときに既に子が生まれていたかどうかで異なります。

①養子縁組したとき既に子が生まれていた場合
養子の子は、代襲相続人にはなれません。

②養子縁組した後で子が生まれた場合
養子の子は、代襲相続人になることができます。

特別養子縁組は原則養子は15歳未満の子なので、
②のパターンはあまり考えられないかなと思います。

逆に普通養子縁組は①の可能性がすごく高いので、
注意が必要です。

里親制度との違い

最後に、養子縁組と里親制度の違いについてです。
里親制度は養子縁組と違い、里親との法律上の親子関係は生じません。
この点が一番大きな違いです。
そして、子の年齢は原則として18歳までと言う点でも異なります。

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