相続・遺言コラム

2024.03.15

知らない間に勝手に相続登記されてる!そんなことある?

  • 相続手続き

もし、自分が知らない間に勝手に相続登記がされていたらどう思いますか?
「何か怖い。。」って思いませんか?
登記簿をみてみると、自分の住所も名前もしっかり載ってるし、、
「やっぱり怖い、これな何なん、、」と不安は積もるばかりです。

今日は知らない間に勝手に相続登記さることってあるの?
あるとしたらどんな場合なの?
についてご紹介します。

まず先にお伝えしたいのは、殆どの場合は詐欺とかではないです。
なので安心してゆったりした気持ちで読んでみてください。

どんな場合に勝手に相続登記がされる?

まず、自分が知らないうちに勝手に相続登記がされることはあります。
法律で定められた正当な手続きによって、本人の関与なしに相続登記をすることが可能です。

じゃあ法律で定められた正当な手続きってどんな場合?というと
2つ考えられます。
①法定相続による相続登記
②債権者代位による相続登記

このどちらにも当てはまらない場合には、
正当な手続きではなく本当に勝手にやられている可能性があるので、弁護士さんなどにご相談ください。

①法定相続による相続登記

相続登記って、何となく相続人全員が納得して関与しないとできないというイメージがありませんか?
実はそんなことはなくて、法定相続分で相続登記をする場合には、
相続人のうち1人から相続登記の申請をすることができるんです。

法定相続分とは

法定相続分とは、法律で定められた相続人の相続財産の取り分のことです。
まず、法定相続人がこんな感じです。

そして相続財産の取り分はこんな感じです。

同順位の相続人が複数人いる場合は、均等に分け合うことになります。
例えば、相続人が配偶者と子供2人の場合
配偶者:2分の1
子①:4分の1
子②:4分の1

相続人が子供2人の場合
子①:2分の1
子②:2分の1

相続人が配偶者と兄弟の場合
配偶者:4分の3
兄:8分の1
弟:8分の1

こんな感じで法律で定められたとおり(法定相続分)の割合で相続登記をする場合には、
相続人の1人から勝手に相続登記ができてしまうんです。

法定相続で勝手に登記 具体例

被相続人:令和6年3月1日 ヒロシが死亡しました。
相続財産:土地
相続人:配偶者ミサエ 長男シンノスケ 長女ヒマワリ
この場合の法定相続分は以下のとおりです。
ミサエ:2分の1
シンノスケ:4分の1
ヒマワリ:4分の1

心配性なミサエは相続登記義務化を前に早く相続登記をしたかったんです。
なので、忙しくしているシンノスケとヒマワリに相談せずに勝手に相続登記をしました。
後日シンノスケが「相続登記が義務化されるし、司法書士に相談しよう!」
と事務所を訪れて土地の登記簿を調査してもらったところ、すでに相続登記がされていました。
登記簿にはこんな感じでシンノスケとヒマワリの住所も名前も記載されています。

これは、法定相続分でミサエが申請人として相続登記をしているので、何の問題もありません。
が、ここで1つ疑問が。
この法定相続登記をしようと思ったら、シンノスケの住所を証明する書類(住民票など)が必要ですが、
ミサエが勝手に取得することができるのでしょうか。

必要書類を勝手に取得できるの?

相続登記をするためにはいくつか必要書類があります。
これをミサエが1人で全て取得することができるのか?という疑問が。

被相続人であるヒロシに関する戸籍などは、
ミサエがヒロシの相続人であることが確認されれば取得が可能です。
しかし、シンノスケの住民票をミサエが委任状もなしに取得できるか?というと微妙なところです。
同じ世帯であれば取得は可能ですが、
世帯が違うのに勝手に取得できるかというと、
福岡の区役所では「委任状が必要です」と言われます。
他事務所さんのコラムで「取得できる」と書かれてるものがあるので、
もしかしたら地域によって取得の可否が異なるのかもしれません。
なので、取得を検討されている方は事前に確認をしておいた方がよいでしょう。

債権者代位による相続登記

勝手に相続登記がされてるもう1つの可能性が
債権者代位による相続登記です

これは何かというと、
本来の申請人に代わって債権者が代わりに登記申請をすることで債権回収に役立てようというものです。
債権者が代わりに登記申請をするので、相続人が知らないうちに勝手に相続登記がされているということになります。
具体例を見ていきます。

債権者代位でで勝手に登記 具体例

カザマはシンノスケにお金を貸していました。(カザマが債権者ということになります)
シンノスケはカザマに返済するお金工面できないまま、とうとう返済予定日を過ぎてしまいました。
しびれを切らしたカザマは、シンノスケの父親名義になったままの土地を差し押さえようと考えました。
差押をするには、まず相続登記をしなければいけません。
そこでカザマは債権者代位による相続登記をしました。

すると登記簿はこんな感じになります。

(因みに当然ですが、カザマが差押できるのはシンノスケの持分のみです)

権利証(登記識別情報)が発行されないので注意

一般的には、相続による所有権移転登記をすると、
新たに所有者となった人に権利証が発行されます。
複数人が所有者となった場合には、それぞれ全員に発行されます。
しかし、権利証は申請人自らが登記名義人(所有者など)になる場合のみ発行される
という不動産登記法のルールがあります。
勝手に登記されているということは、申請人ではないということです。
なので、勝手に登記されている場合=申請人ではない=権利証は発行されません。
先の例の法定相続登記だとシンノスケとヒマワリには発行されず、
債権者代位登記だとミサエ、シンノスケ、ヒマワリ全員に発行されません。
権利証がないと、売却時に費用や手間がかかってしまいます。
法定相続であれば相続人同士で意思疎通を図って、
全員が申請人となって相続登記をしてほうがいいでしょう。

権利証が発行されていないとどうなるの?についてはこちらのコラムをご覧ください

相続登記は司法書士へ

相続登記の専門家は司法書士です。
登記を焦ってしまうと、今回ご紹介したように権利証が発行されず後々困ってしまう。ということにもなり兼ねません。
相続登記のご相談はふくおか司法書士法人へお気軽にご連絡ください

 

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