相続・遺言コラム

2022.01.04

相続登記が義務化されます!

  • 相続手続き

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、相続登記もいよいよ義務化か、という感じで
司法書士業界では「大相続時代到来」とか言って盛り上がってきています。
ワンピースみたいですね。

令和6年4月1日より、相続登記が義務化されます。
これまでは相続登記は義務ではなかったのですが、
それによってさまざまな問題が出てきて
「よし、相続登記を義務化しよう」という流れになったようです。

今回は、この相続登記義務化について、です。

相続登記が義務ではなかったことによる問題

これまで相続登記が義務ではなかったことによって
どんな問題が生じていたの?
そして、義務化する必要があったの?ということです。

相続登記が放置されることで「結局今誰の土地なん?」という問題が発生している

この「相続人末広がりの恐怖」というコラムでもご紹介した通り、
相続登記は放置すればするほど、相続人増加の可能性は無限大です。

そして「結局今誰の土地なん?」となり、探すのに膨大な費用と時間がかかってしまいます。

「結局今誰の土地なん?」から出てくるさまざまな支障

今誰の土地なん?というくらいですから、管理されていないことが殆どです。
当然そいういった土地は、衛生面の問題も出てくるでしょうし、
空き家が増えると治安悪化に繋がってしまうということも考えられます。

また、公共事業などが思うように進まず、
土地の利活用を阻害するといった問題も出てきます。

こういったことから「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」として
国が動き出したという経緯があります。

相続登記義務化

では、相続登記義務化について具体的に見ていきましょう。

義務化はいつから?

令和6年4月1日からです。
この相続登記の義務化は過去に遡って適用されますので
令和6年4月1日以前に相続が発生している場合も対象となります。

登記申請の期限は?

では、いつまでに登記申請しなければならないのか?というと
①相続や遺贈で不動産の取得を知った日
②令和6年4月1日
どちらか遅い日から3年以内です。
例えば、、

令和6年4月1日時点で既に相続が発生している場合

令和1年5月1日に父が亡くなって相続が発生しているとします。
この場合は、恐らく殆どの場合が
②令和6年4月1日から3年以内が登記申請期限となります。

もちろん、令和1年5月1日に父が亡くなったが「①相続や遺贈で不動産の取得を知った日」が
令和6年4月1日以降であれば「①相続や遺贈で不動産の取得を知った日」
から3年以内となりますが、あまり考えられないケースかなと思います。

令和6年4月1日以降に相続が発生した場合

これは「①相続や遺贈で不動産の取得を知った日から3年以内」が申請期限となります。

因みに、遺産分割協議で不動産を取得した場合、遺産分割協議の日から3年以内となります。

罰則はあるの?

正当な理由のない申請漏れには「10万円以下の過料」が科されます。

3年以内の義務を課して、罰則がある。
となると、やはり過料を払うのは嫌だし、きちんと3年以内に義務を果たしたいところです。
しかし、相続問題は複雑なことも多く、相続を認識してから3年以内に決着するとは限りません。

そこで、遺産分割協議が3年以内にまとまらなかった場合は?
法定相続だけど申請人の負担が大きすぎる場合は?
ということに対応すべく「相続人申告登記」という制度が新設されました。

相続人申告登記

相続人が申請義務を簡易に履行できるよう設けられた制度です。
通常通り相続登記申請をするよりも
簡易的に登記申請義務を果たすことができるのです。

どんな内容?

以下の①と②を履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで
申請義務を履行したものとみなされます。

つまり、罰則が科されなくなるのです。

①相続が開始した旨
②自分がその相続人である旨

メリット

・相続人が複数いる場合でも単独で申出ができる
・法定相続人の範囲や割合の確定が不要⇒被相続人の生まれてから死亡までの戸籍収集が不要

遺産分割と相続人申告登記

先にも記載しましたが、
遺産分割が成立した場合、遺産分割協議成立から3年以内にその内容を踏まえた登記申請が必要です。

遺産分割協議とは、その名のとおり「協議」をします。
協議は一人ではできません。他の相続人の協力が必要です。

3年以内に話がまとまらなかったらどうするの?罰則があるの?と不安になりますが、
その場合、相続人申告登記の申出をすることで罰則を免れることができます。

 

3年以内に遺産分割協議が成立した場合 遺産分割協議成立から3年以内に協議通りの内容の登記をする
②①が難しい場合、3年以内に相続人申告登記の申出をして、遺産分割協議成立から3年以内に協議通りの内容の登記をする
3年以内に遺産分割協議が成立しなかった場合 ①まず、3年以内に相続人申告登記の申出をする
②ー1その後遺産分割協議が成立したら、成立日から3年以内に協議通りの内容の登記をする
②ー2その後、遺産分割協議が不成立の場合はそれ以上の義務はない

 

まとめ

今回は、相続登記義務化についてまとめてみました。
「義務化」と聞くと、厳しいな、面倒くさいなと思ってしまいがちですが、
義務化に伴い、より簡易的な手段である「相続人申告登記」という制度も新設されます。
この機会に是非一度ご相談されてみてくださいね。

相続・遺言問題でお悩みの方に
正確で確かな「解決力」を

相続・遺言手続センター福岡は相続問題をワンストップで解決する相続・遺言の専門家集団です。
相続には期限や法的判断の難しい手続きも多く、専門的な知識が必要とする場合があります。相続・遺言の専門家に相談することで大切な資産を守ることにも繋がりますので、早めの対策が望ましいです。

  • 遺産相続に関する手続きを一括して任せたい
  • 土地や建物の名義変更の手続きをしてほしい
  • 相続手続き、何から始めたらいいのか分からない
  • 終活として遺言書を作成したい

など、相続問題は置かれている状況に応じて様々。相談者ごとに、一番最適なプランで問題解決に当たります。
私たちは相続・遺言の専門家として、相続問題にお困りのご家族に寄り添い、今後安心した生活を送れるようサポートします。

事務所案内

初回相談費用無料