よくある質問
Q両親はともに70歳を過ぎましたが、いたって元気です。
相続や遺言などを考えるのはまだ早いように思うのですが。。。閉じる開く
平穏無事なときは今のままの生活がずっと続くように思いがちです。でも子どもが常に成長し変化し続けているように、誰の人生にも必ず変化が訪れます。ご両親が病に倒れたり、介護を要するようになるときも必ず来ます。それに、今日、この日に事故に遭う恐れもあるのです。
考えたくないことですが、病や死はいつ来るか分かりません。少なくともご両親がある程度の年齢になったら、その日のことを今から考えておくべきです。相続や遺言、財産の状況とともに、ご両親が認知症や長期療養が必要な状況になった場合、誰がどのように面倒を見るのかについても兄弟姉妹で話し合っておきましょう。息子の家族と同居して実際に介護するのは息子のお嫁さんであるというケースもよくあるので、兄弟姉妹の家族の意思についても確認しておくことをお勧めします。
Q相続税の申告や兄弟姉妹で話をまとめるなど、親の相続のすべてが面倒です。
関わりを持たずに済ますことはできるのでしょうか?閉じる開く
親の相続が発生すれば、子供はその当事者になります。極端な話、家族と縁を切って相続のすべての権利を放棄したとしても、法定相続人全員の合意がなければ財産を処分することも、相続税の申告もできません。相続人全員が遺産分割協議に参加し、自分の意思を明らかにして、その結果を書面に残す必要があるからです。
相続税の申告にも10ヶ月以内という期限があります。それまでに相続人の中で誰かが中心となって話をまとめ、必要な手続きをしなければなりません。
相続は先のことと考えたり、面倒だからと避けて通るのではなく、早めに当事者が集まって対策を考え、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
Q父が建てたアパートのローンが残っているのですが、相続がもし発生したらどうなるのでしょうか?閉じる開く
場合によっては借金を相続することになる可能性もあります。まずはローンの総額や現在の残高、完済日をお父さんに聞いて確認しましょう。その上で、万一お父さんが亡くなったらどう返済するかを考えます。相続に関わる情報は親子や兄弟姉妹の間で共有することが、スムーズな相続をスタートさせる第一歩です。
なお自宅のローンの場合は、借り主が無くなると自動的に返済する団体信用生命保険に入るのが一般的ですが、これについても一応確認しておきましょう。
Q相続税がかかってくるのは、財産がいくら以上ある場合でしょうか?閉じる開く
相続税には基礎控除があり、財産の額がそれ以下であれば税金を払い必要はありません。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数」で計算します(2015年1月1日施行)。たとえばお父さんが亡くなって、お母さんと子供2人が相続人であれば、法定相続人数は3人なので基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」となります。財産が4,800万円を越えれば相続税がかかり、申告し納税しなければなりませんが、それ以下の場合は相続税がかからず申告も必要ありません。ただ、計算ミスや勘違い、財産の見落としが後で分かって事後報告になると面倒です。相続が発生する前に確認しておくのが無難です。
Q財産がどれくらいあるのかは、どうやって調べるのですか?閉じる開く
金や貯金、生命保険、株式などの金融資産については、通帳残高や預かり証などで確認できます。不動産については、固定資産税評価額の通知書や登記簿謄本などが基礎資料となります。またローンなど負債についても契約関係の書類などをもとにして洗い出しを忘れないようにします。
Qうちの財産は、両親が住んでいる自宅だけです。両親がなくなってから3人兄弟で自宅を分けるにはどうすればいいのですか?閉じる開く
財産の分割を考える際には、法的な側面と、現実的な解決という2つの面を念頭におく必要があります。
法的には、財産は3兄弟ならば3分の1ずつ同じように分割するように規定されています。しかし不動産は簡単に分けられるものではなく、特に自宅となれば分割するわけにいきません。
そこで現実的な解決方法を考えてみることにしましょう。兄弟の仲がよければ、話し合いで分け方を決めることができます。たとえば長男がご両親と同居して面倒をみてきたのならば、他の2人が認めた上で長男が自宅を受け継いでいいのです。長男自身の財産を使って残り2人に補償をすることも考えられます。
しかし兄弟の仲が悪いと話し合うことが難しく、自宅を売却してでもお金に換えて、3分割するしか道はないかもしれません。このように考えると、兄弟の関係を良好にしておくことこそ最も効果がある相続対策ということになりそうです。
Q生前贈与を考えていますが、どんなやり方がありますか?閉じる開く
生前贈与には、単純に財産を譲る通常の贈与のほかに、定期贈与と負担付贈与があります。定期贈与は、一定期間のうちにある額の財産を贈与する契約を結びます。
たとえば「50万円ずつ20年間贈与する」という形で、総額では1000万円の贈与になります。手続きが一度で済みますが、税金面では不利になります。通常の贈与では1年間の贈与に対して110万円まで基礎控除が使えるのに対して、定期贈与では総額から110万円を控除できるだけだからです。
負担付贈与は、一方的に財産の譲るのではなく、それに引き換えに別の財産を受け取るという契約です。たとえば通常ならば5億円の不動産を、5000万円で相手に売ったとします。一見売買取引のようですが、この場合は買った側がかなり有利なので譲渡ではなく負担付贈与とみなされます。そして5億円から5000万円を差し引いた4億5000万円に対して贈与税がかかってきます。
なお生前贈与以外に、亡くなったときに贈与するという契約をあらかじめ結んでおく「死因贈与」というものもあります。
Q父が亡くなりましたが、誰が相続をとりまとめればよいでしょうか?閉じる開く
比較的裕福で経済的に余裕のある人がとりまとめ役を引き受けることをお勧めします。相続人の経済状況がよくないと、1円でも多くの遺産を欲しがります。そのような相続人が複数いると争いが起こりやすいものです。法律で定められた相続分にこだわるとかえって揉めることもあります。杓子定規に進めるのではなく、個々の相続人の事情も配慮して配分を考えるのがいいでしょう。とにかく争いになると、分けられるものも分けられなくなって全員が困ることになります。
Q葬式にかかる費用は、財産から差し引くことはできないのでしょうか?閉じる開く
葬式費用のうち次のものは、債務控除の対象となり相続財産から差し引くことができます。
債務控除できるもの
- 葬式の費用(埋葬、火葬、納骨などにかかった費用)
- 通夜など葬式の前後にかかった費用
- お布施などの支払い(被相続人の職業や地位に相当すると認められる範囲で)
- 死体の捜索や、死体もしくは遺骨の運搬にかかった費用
ただし、次のものについては、相続財産から差し引くことができません。
債務控除できないもの
- 香典返しの費用
- 墓石や墓地の取得費または借入料
- 初七日や四十九日などの法事の費用
- 医学上または裁判上の特別な処置にかかった費用