相続・遺言コラム
2022.08.08
相続財産の分割方法(換価分割?現物分割?代償分割?)
- 相続手続き
相続人が2名以上いる場合、
相続財産の分け方をどうしよう?と悩まれるケースがあります。
相続財産の分け方は大きく3つあります。
①換価分割
②現物分割
③代償分割
今回は、この3つの分け方の内容やメリットデメリットをご紹介します。
換価分割とは?
換価分割とは、例えばこんな感じです。
換価分割の事例
相続財産:不動産(3000万円)のみ
相続人:兄と弟の2人
兄も弟もそれぞれ別で自宅を購入しており、相続した不動産については不要と考えています。
なので、今回はこんな方法をとることにしました。
①不動産を売却して現金化する
②現金を兄と弟で分け合う
これを「換価分割」と言います。
不動産を換価してから分割してますよね。
では、換価分割のメリットやデメリットをみていきます。
メリット
換価分割のメリットは以下のようなことが挙げられます。
①現金化で平等な分割が可能
換価分割では現金化して現金を分け合うので、
相続人間の取り分が平等であることが一目瞭然というメリットがあります。
例えば、後にご紹介する現物分割だと、
それぞれが相続する物の価値が違い、
相続人間で不信感や不公平感が生まれてしまうことがあります。
この点、現金を分け合うので、相続人間の不公平感も生まれません。
②相続手続きとまとめて不動産の処分ができる
換価分割では不要な不動産を相続手続きと一緒に済ませられるというメリットもあります。
③支払い能力を気にしなくていい
不動産を現金化して、手元にある現金を分け合うので、
相続人の中に「現金がない」という方がいても気にせず分割手続きを進められます。
これは、後にご紹介する代償分割との比較でメリットとして挙げられます。
代償分割は支払い能力がない相続人がいると、分割が困難になってしまうケースがあるのです。
デメリット
換価分割のデメリットは以下のようなことが挙げられます。
①手間と時間と費用がかかる
例えば、不動産を処分して現金化するには、
相続人でその話をつけて、相続登記をして、売却先を探して、売買の登記をする必要があります。
そのため手続きが長期化する可能性があります。
②譲渡所得税がかかる
換価分割は不動産売却してその売却代金を得る行為なので、
譲渡所得税がかかります。
現物分割とは?
現物分割とは、例えばこんな感じです。
現物分割の事例
相続財産:不動産(3000万円)、宝石(1000万円)
相続人:兄と弟の2人
両親の生前から兄が同居しており、相続した不動産については兄が住み続けたいと考えています。
なので、今回はこんなかんじで分け合うことにしました。
・不動産(3000万円)は兄がもらう
・宝石(1000万円)は弟がもらう
これを「現物分割」と言います。
不動産・宝石を売却や共有をせずに、これはこの人、これはこの人と
その物をそのままの状態で分け合っていく方法です。
では、現物分割のメリットやデメリットをみていきます。
メリット
現物分割のメリットは以下のようなことが挙げられます。
①分かりやすい
事例を見ていただいてお分かりかと思いますが、分け方が明確で非常に分かりやすいです。
②手っ取り早い
換価分割と違い不動産などの売却もないですし、
代償分割と違い不動産の評価を出してあーだこーだもないので
相続人同士がその分割方法に納得してさえいれば
手続き期間は短く済ませることができます。
デメリット
現物分割のデメリットは以下のようなことが挙げられます。
①不公平になりやすい
例えば、事例をみていただくと分かりやすいのですが、
兄:不動産(3000万円)
弟:宝石(1000万円)
金額的に不公平感ありますよね。
弟にしてみれば、自分は1000万円分の価値しかない宝石で
兄は3000万円の価値がある不動産をもらうなんて納得できんわ!ってなりそうですよね。
代償分割とは?
代償分割とは、例えばこんな感じです。
代償分割の事例
相続財産:不動産(3000万円)のみ
相続人:兄と弟の2人
両親の生前から兄が同居しており、相続した不動産については兄が住み続けたいと考えています。
なので、今回はこんなかんじで分け合うことにしました。
・不動産(3000万円)は兄がもらう
・1500万円の現金を兄から弟に支払う
これを「代償分割」と言います。
兄が不動産を全部もらう代償として、不動産の評価額の半分の金額を弟に現金で支払います。
メリット
代償分割のメリットは以下のようなことが挙げられます。
①遺産をそのまま残せる
例えば、今回の事例だと不動産をそのまま残して住み続けたり、活用したりできます。
②ある程度公平性が保てる
現物分割のように、不動産は兄、宝石は弟などと分けるよりも
公平性を保てる分割方法です。
デメリット
分割のデメリットは以下のようなことが挙げられます。
①兄に支払い能力がない場合
事例で「兄が弟に1500万円を現金で支払う」としていますが、
例えば兄が1500万円支払えなかった場合、弟は遺産分割協議のやり直しを求めることはできるでしょうか?
こちらのコラムにも書いてますが、債務不履行を理由に遺産分割協議を解除してやりなおすことは基本的にはできません。
なので、この代償分割を検討する場合は、
兄に十分な資力があるかのか?ということをしっかりと考えなければいけません。
②不動産の評価方法で揉める可能性
今回、弟がいくらもらえるのか?は兄が取得する不動産の評価がいくらなのか?ということに直結します。
評価が高ければ高いほど沢山もらえますよね。
なので、不動産の評価をいくらにするのか?
ということで相続人間で揉めてしまう可能性があります。
まとめ
今回は相続財産の分割方法についてまとめてみました。
分割方法はそれぞれの事情や想いによってベストな選択肢が異なります。
そのため、ときに専門家を交えながらしっかりと話し合うことが大切です。
ふくおか司法書士法人では税理士の先生とも連携をとりながら
税金面も考慮したベストな遺産分割方法をご提案します。
相続のお手続きについては相続・遺言手続きセンター ふくおか司法書士法人までお気軽にお問合せください。
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