相続・遺言コラム

2022.04.29

相続土地国庫帰属法について

令和5年4月27日より「相続土地国庫帰属法」がスタートします。

相続土地国庫帰属法とは、
その名の通り、相続した土地を国庫に帰属させることができる制度です。

「え?せっかく相続した土地を国にあげちゃうの?」
という感覚の方もいらっしゃると思いますが、
相続する土地が必ずしも使用したり、売却したりできるいい土地とは限りません。

「相続したけど、こんな田舎の土地持っててもな、、」
と思われている方は意外と少なくないんです。
そんなときに利用できる可能性がある制度です。

所有者不明土地の増加問題

相続土地国庫帰属法創設のきっかけとなったのは、所有者不明土地の増加問題です。

所有者不明土地とは

所有者不明土地とは、土地の登記簿を見ても所有者がすぐに分からない、又は判明しても連絡がつかない土地のことです。

この所有者不明土地の割合は、
平成29年に地方公共団体が実施した地籍調査事業によると、
なんと22.2%もあったそうです。
そして色々と調査をしても最終的に0.44%の土地の所有者が判明しなかったという調査結果が出ています。

ではなぜ不動産の登記制度があるにも関わらず、
こんなにも所有者不明土地が増えてしまったのでしょうか?

所有者不明土地が増えてしまった原因

所有者不明土地が増えてしまった原因は
ずばり、不動産登記が義務ではないからです。

義務ではないとはいえ、
自分が欲しくて積極的に売買により取得した土地は皆さん必ず登記をします。

しかし相続によって不要な土地が自分のものになってしまった場合、
登録免許税や場合によっては司法書士への報酬を支払って登記をする人が減るのは必至です。

実際、所有者不明土地の発生原因の調査結果は以下のようになっています。

相続登記をしていない 約65.5%
住所変更登記をしていない 約33.6%

所有者不明土地が増えると何が問題なの?

この所有者不明土地が増えると経済面や衛生面で様々な問題が出てきます。
具体的にはこんなことです。

・所有者が分からないので該当土地や周辺土地の利活用が困難となる
⇒公共事業の用地取得ができなかったり、森林の管理などにも支障がでてくる
・周辺の環境の悪化につながる
⇒空地空き家が増えることにより治安が悪くなる

このような問題に対応すべく、相続などにより取得した土地を手放すことを認め、
国庫に帰属させることができる「相続土地国庫帰属法」が創設されました。

相続土地国庫帰属法とは

相続土地国庫帰属法とは、
相続等により取得した土地を、法務大臣による承認を経て国庫に帰属させることができる制度です。
所有者の一方的意思表示によるものではありません。

では、承認されるためにはどのような要件があるのでしょうか。

承認申請について

承認申請するためには、申請人と土地でそれぞれ要件があります。

①承認申請できる 相続等により土地を取得した人
②承認申請できる土地 却下事由及び不承認事由に該当しない土地

①承認申請できる人とは

承認申請できるのは「相続等により致し方なく土地を取得した人」です。
例えば、

a)相続人以外の人が遺贈によって取得した場合は対象外です。
なぜなら、遺贈の放棄したらいいでしょという理由です。

b)1つの土地の半分を相続で取得
もう半分を売買で取得した場合も土地全体について承認申請が可能です。

c)1つの土地の半分を相続で取得
もう半分を他の人が持っている場合(共有の場合)
共有者全員で承認申請が可能です。

②承認申請できる土地とは

通常の管理や処分をするときに、費用や労力がかかりすぎる土地については
承認が却下されたり、不承認となります。

却下事由
該当したら即却下
(相続土地国庫帰属法第2条第3項)
建物が建っている土地
②抵当権や賃借権などの担保権・使用収益権が設定されている土地
通路として他人が使用している又は使用を予定している土地
④特定有害物質により汚染されている土地
境界が明らかでない土地
⑥誰がどこまでの所有者か分からないなど、所有権の帰属や範囲に争いがある土地
不承認事由
該当したら個別に判断
(相続土地国庫帰属法第5条第1項)
崖がある土地で通常の管理に過分の費用や労力を要する土地
工作物、車両、樹木等が地上に存在して通常の管理や処分を阻害している土地
③除去しないと通常の管理や処分ができない埋設物などが存在する土地
不法占拠者がいるなど争訟によらなければ通常の管理処分ができないとち

 

今日は令和5年4月27日よりスタートする新制度についてまとめてみました。
この制度とあわて相続登記の義務化も令和6年4月1日よりスタートします。
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