相続・遺言コラム

2022.05.17

遺言執行者の通知義務とは

  • 相続手続き

令和元年7月1日にの民法改正で
遺言執行者に通知義務が課されることとなりました。

遺言執行者とは?

そもそも遺言執行者とは?ということですが、
遺言執行者とは「遺言書の内容を実現するために様々な手続きをする人」のことです。

遺言書による相続手続きは、時に複雑で時間や手間がかかることがあります。
折角遺言書を書いたのに、相続人が誰も遺言の内容を実現しようとしなかった、、
といったことがないように、しっかりと
「この人にお願いしたい」と遺言執行者を定めておくことで
相続などの手続きがスムーズに進みます。

遺言執行者は未成年者と破産者以外であれば
誰でもなることができます。

そして遺言執行者になると、
相続財産の調査や相続人の確定など
様々な業務をこなしていく必要があります。
※遺言書の業務の1つである遺言書の検認についてはこちらをご覧ください

この遺言執行者に対して
令和元年7月1日にの民法改正で新たな義務が課されました

それが「遺言執行者通知義務」です。

遺言執行者は辞退できる

因みに、遺言執行者が様々な義務を負うのは
「就任を承諾したとき」です。
なので、就任を承諾する前であれば辞退することが可能です。

辞退の方法は特に決まりはありませんが、
言った言わないの新たな揉め事を防止するためにも
書面で辞退する旨を相続人に通知しておくことをおすすめします。

就任を承諾した後はその意思を撤回することはできません。

遺言執行者通知義務ってどんな内容?

遺言執行者の通知義務については民法1007条で定められています。

(遺言執行者の任務の開始)
民法 第1007条
1 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

第2項が新たに追加されました。
「通知しなければならない」とばっちり書かれています。

なぜ義務になったの?

主な理由としては、遺留分を請求する機会をきちんと与える
ということがあります。

例えば、
被相続人:A
相続人:妻Bのみ
この状況で、Aは財産の全てを他人であるXににあげるという内容の遺言書を残しました。
この場合、Bには遺留分という法律上認められた最低限相続財産をもらう権利があります。
この権利を遺留分といい、遺留分を請求することを遺留分侵害請求と言います。

この遺留分侵害請求は「返せ!」とBが自ら主張しなければ認められません。
しかし、遺言書を書かれて勝手に手続き進められた場合、
Bは自分に遺留分があったことすら知らずにXに財産を全て持って行かれてしまう可能性があります。

実際に、こういったケースでトラブルになった事例が多く、
このトラブル防止のために相続人にきちんとお知らせしましょうね。
という流れで通知が義務化されました。

遺留分について詳しくはこちらをご覧ください。

通知の内容

「遺言の内容」を通知しないといけないので、
遺言書のコピーと一緒に「私が遺言執行者に就任しました」といった内容の書面を送ります。
また、民法1011条により相続財産目録の交付義務もあるので
この時点で相続財産が分かっていれば、相続財産目録も一緒に入れておくとスムーズです。

(相続財産の目録の作成)
民法 第1011条
1 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

 

通知のタイミング

遺言執行者就任後と業務終了後に通知が必要です。

通知する相手

条文上は「相続人に」となっていますが、
相続人以外にも相続にと同様の権利義務を有する「包括受遺者」に対して通知が必要です。

※包括受遺者とは、財産を特定せずに「私の一切の財産を全部あげるね」と言われて財産を受け継いだ人のことです。

通知しなかったらどうなる?

遺言執行者が通知義務違反をすると
損害賠償責任や解任事由に該当する可能性があります。

遺言執行者は専門家に

遺言執行者は相続人の確定や財産調査など様々な業務を行います。
その上、今回の義務化により相続人への通知も必要となり、
時間的にも精神的にも負担が増えました。

冒頭にも書きましたが、遺言執行者は未成年者と破産者以外であれば誰でも就任することができます。
しかし、誰でも簡単にこなせる業務ではありません。

司法書士は遺言作成のほか、この遺言執行者に就任することで
相続のお手続きのお手伝いをさせていただけます。

遺言書作成などでお困りの際は
ふくおか司法書士法人にお問合せください。

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