相続・遺言コラム

2021.09.13

失踪宣告とは

  • 相続手続き

失踪宣告とは

「失踪宣告・・」よく分からないけど、
ただごとではない、ということだけは、分かる。

条文に何てかいてあるか気になる性格なので、調べてみました。

 

(民法30条)
1.不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2.戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

 

色々書いてますが、要は、
「一定期間生死が不明な場合、法律上死亡したものとみなされる」
という制度のことです。

「法律上死亡したものとみなされる」って、、
法律ってすごいですよね。

失踪宣告には2種類ある

条文が2つに分かれれている通り、失踪宣告は2種類あります。

死亡したとみなされるまでの期間 期間満了したときにいつから死亡したことになるのか
普通失踪 消息を絶った時から7年間生死が不明である。 生死が不明になってから7年間が満了したときを死亡日とみなす。
特別失踪 危難が去った後から1年間生死が不明である。 危難が去ったときに死亡したものとみなす。

※危難とは:戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇すること

失踪宣告の申立

失踪宣告の要件に当てはまる場合、家庭裁判所に申立をします。

 

どこに? 不在者の最後の住所地の家庭裁判所に行います。(最後の住所地も居所地も分からない場合は、東京家庭裁判所に申立てを行います)
誰が? 失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係がある人が申立ます。

※「法律上」の利害関係が必要なので、単に利害関係のある人は申立できません。
〇 妻、兄弟、不在者財産管理人
× お金を貸していた人、婚約者

申立時の必要書類

失踪宣告の申立てには、次の書類が必要です。
・家事審判申立書
・不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
・不在者の戸籍附票
・失踪を証する資料
・申立人の利害関係を証する資料

失踪を証する書類とは

上記の必要書類をざっとみて思うこと。
失踪を証する資料・・・???
何を提出すればよいのでしょうか。

①捜索願受理証明書

一般的に「捜索願受理証明書」を添付することが多いです。
しかし、首尾よく捜索願を出している、という方ばかりではないかと思います。
その場合、相談をお受けした時点からでも捜索願を出すようにお願いしています。

(捜索願の記入方法)

捜索願には「行方不明になったときの状況」について記入する欄があります。
いなくなった日時や時間、場所を分かる限り丁寧に記入して下さい。

②不在者宛の手紙

不在者に連絡を取るために手紙を送り、
「宛先に尋ねあたりません」と還付された記録のある手紙などがこれに当たります。

③不在者財産管理人選任申立書の謄写記録

不在者財産管理人選任の決定には、「不在の事実」の認定が必要です。
なので、この申立書には、「不在の事実」についての記載がされています。
そのため、この申立書や決定書を、失踪を証する書面として添付することがあります。
※相続手続では、失踪宣告の前に不在者財産管理人の選任がされることがあります。

失踪宣告の申立がされた際の調査について

冒頭でも説明しましたが、
失踪宣告は、人が一人亡くなったとみなされる
とても責任が重い制度です。
そのため、家庭裁判所の申立の中でも、
より慎重に審査がなされる手続きです。

調査対象

・全国の職業安定所に対しての調査嘱託
・運転免許センターに運転免許の更新の有無の確認
・法務省に在監の有無の確認
・失踪者の親族や友人への聞き取り調査

人が生活するうえで欠かせないポイントをついて調査してますよね。
実際、家庭裁判所からの職業安定所への照会の結果、
失踪者の家族が全く知らない地で、
ある会社に在籍していた記録が見つかったということもありました。

失踪宣告は取り下げになりましたが、
家族がまだ生きているということが分かって、
とても安心しました!と喜ばれていました。

官報や裁判所の掲示板で催告する

上記の調査も及ばず、
失踪者の生死が判明しなかった場合の次の手です。

官報や裁判所の掲示板で以下のような催告がされます。
「失踪者は生存の届け出をするように。失踪者の生死を知っている人はその届け出をするように。」と。

催告期間

 

普通失踪 3か月間
特別失踪 1か月間

実際、この公示催告で「失踪者が見つかりました!」ということは稀です。

失踪宣告

上記の手続きを経て、家庭裁判所より失踪宣告がされます。

失踪宣告がなされた後の手続き

申立人には,戸籍法による届出義務があります。
手続きについては以下のとおりです。

 

誰が? 失踪宣告の申立人
いつまでに? 失踪の審判確定後10日以内
どこに? 不在者の本籍地又は申立人の住所地の市区町村役場
提出する書類は? 審判書謄本と確定証明書(※)を添付します。

※確定証明書は、家庭裁判所に備付けの申請用紙に必要事項を記入し、150円分の収入印紙を貼って、審判をした家庭裁判所に申請すると発行してもらえます。

この失踪の届出が受理されると、
不在者の戸籍に失踪宣告がなされたことが記載され、
相続のお手続き等に入ることができます。

相続・遺言問題でお悩みの方に
正確で確かな「解決力」を

相続・遺言手続センター福岡は相続問題をワンストップで解決する相続・遺言の専門家集団です。
相続には期限や法的判断の難しい手続きも多く、専門的な知識が必要とする場合があります。相続・遺言の専門家に相談することで大切な資産を守ることにも繋がりますので、早めの対策が望ましいです。

  • 遺産相続に関する手続きを一括して任せたい
  • 土地や建物の名義変更の手続きをしてほしい
  • 相続手続き、何から始めたらいいのか分からない
  • 終活として遺言書を作成したい

など、相続問題は置かれている状況に応じて様々。相談者ごとに、一番最適なプランで問題解決に当たります。
私たちは相続・遺言の専門家として、相続問題にお困りのご家族に寄り添い、今後安心した生活を送れるようサポートします。

事務所案内

初回相談費用無料