相続・遺言コラム

2021.09.15

戸籍には3つの種類がある~戸籍を取得するときに知っておきたいルール~

  • 相続手続き

知られざる戸籍の世界

司法書士事務所では相続登記等に使用するために、
日常的に戸籍の収集を行っています。
そんな司法書士事務所から皆さんに、
戸籍や相続に少しでも興味をもっていただきたいという想いを込めて、
戸籍にまつわる「都市伝説」をご紹介します。

戸籍を見て実は自分は養子だったことを知った

ドラマとか仰〇ニュースとかで出てきそうなエピソードですが、
実際こんな方もいらっしゃいます。
そして、こういったパターンは高い確率で揉めます。
突然、存在すら認識していなかった人が「相続人です」と登場するわけですから、
心理的にもなかなか難しいところですよね。

破産したことは戸籍に載るの!?

これはただの都市伝説です。
そんなことはありませんので安心して下さい。
この誤解は今でも根強く、
破産手続きのご相談をお受けする際に結構な確率で聞かれます。

日本にも「無戸籍者」が存在する

法務省が把握している無戸籍者は、なんと、3235名(令和3年2月9日末日時点)とのこと。
(実際もっといるという新聞記事もちらほらあります)

普通に生まれて、普通に生活していると、
「え?どゆこと?」ってなりますよね。
私も、初めて無戸籍者の存在を知ったときは驚きました。

親が出生届を出さなかった等の理由があるようですが、
相続登記で戸籍集めをしていると、
無戸籍期間がある方がたまにいらっしゃいます。(昔の方が多いです)
例えば・・
相続登記では被相続人(お亡くなりになった方)の出生から死亡までの戸籍をもれなく揃えて
相続人調査をします。
しかし、17歳以前の戸籍がない方が、実際いらっしゃいまいた。
この場合、当然、ない戸籍は出せないので、17歳からの戸籍をそろえて相続登記します。

因みに、これは、うちの事務所のスタッフが言っていたのですが、
たまに役所に「無戸籍者の方相談承ります」みたいなポスターが貼ってあるらしいです。

もはや日本語とは思えない筆跡

昔の戸籍は手書きです。
「手書き」と聞くと、温もりを感じるかもしれませんが、
正直、我々にとっては辛いところです。

なぜなら、「達筆すぎてもやは日本語とは思えない筆跡」が存在する。
ということです。

盛ってるわけではなく、本当に
「なにこの字・・」となります。
新人の頃はこの独特の字体の判別ができず
眉間に皺を寄せまくって、格闘していました。

戸籍を見せ合いながら「これ、なんて書いてあると思う?」
と意見を募るのは司法書士事務所あるあるです。

 

戸籍には3つの種類がある

「戸籍戸籍」と紹介してきましたが、
これ、実は、正しく分ければ3種類あるのです。

①戸籍謄本
②改製原戸籍(かいせいはらこせき)謄本
③除籍(じょせき)謄本

まず、用語解説から。

謄本と抄本の違いについて。

よく、謄本ですか?抄本ですか?と問合せがくるのですが、その違いは、、

戸籍謄本(とうほん) 戸籍に入っている全員が記載されているもの
戸籍抄本(しょうほん) その戸籍に入っている一部の者が記載されているもの

 

ちなみに、戸籍のコンピュータ化に伴い、現在の正式名称は
戸籍謄本⇒戸籍全部事項証明書
戸籍抄本⇒戸籍一部事項証明書

ただ、これが浸透せず、司法書士事務所等戸籍を取り扱う事務所では
未だに「戸籍謄本」という言葉が飛び交っています。
登記識別情報を未だに「権利書」と言うのと同じ感覚ですね。

それではいよいよ3つの種類の違いについてご説明していきます。

①戸籍謄本

今現在の戸籍のことをです。
「現戸籍(げんこせき)」とか「現在(げんざい)戸籍」とも呼ばれています。
「現在」と呼ばれているからには、「過去」があるのです。
その過去の戸籍たちが「②改正原戸籍謄本」や「③除籍謄本」のことなのです。

②改製原戸籍謄本

法律の改正により新しい書式の戸籍に作り替えることを「改製」と言います。

改製の歴史

これまで計5階にわたって法改正され、戸籍が改製されました。
・明治19年
・明治31年
・大正4年
・昭和23年
・平成6年

戸籍が改製された場合、すべての戸籍を新しい書式に書き換えることになりますが、
全てが書き写されるわけではありません。
イメージとしては、選ばれし者(比較的新しい記載事項)だけが①の現在戸籍に進めるのです。
では、選ばれなかった者(比較的古い記載事項)はどうなるのでしょうか?
それが、「改製原戸籍謄本」として残ることになります。
「法律の改正により強制退場となった記載事項が集まっている戸籍」のことです。

③除籍謄本

さまざまな理由により、誰もいなくなった戸籍を「除籍謄本」と言います。
いなくなる理由としては
・婚姻、離婚で別の戸籍に移す
・死亡していなくなる
・全員が転籍(本籍地を他に移す)をする
「婚姻や死亡などにより自主退場して誰もいなくなった戸籍」のことです。

相続手続では3種類全ての戸籍が必要な場合が多い

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の財産(預貯金や不動産)の名義変更を行います。
そのときに「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍」
の取得が必要となります。

①の現在戸籍だけでもだめだし、
②の改正前の戸籍だけでもだめだし、
③の婚姻前の戸籍だけでもだめなのです。

更に、被相続人の本籍地が転々としている場合、
一つの役所では取得できず、何箇所もの役所に申請が必要です。

なかなか大変な作業だということは想像に難くないと思います。

面倒だな、忙しいしな、と思われる方、ご安心ください。
我々司法書士が戸籍集めのお手伝いをさせていただきます。

お困りの方はお気軽にご相談ください。

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