相続・遺言コラム
2022.03.31
登記されていない建物の相続について
- 登記
司法書士の仕事は?と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが「登記」です。
そもそも登記って何なのでしょうか?
登記とは
登記には大きく分けて「不動産登記」と「商業登記」があります。
商業登記とは会社の登記のことです。
不動産登記とは、すごくざっくり簡単に説明すると、
土地や建物を「私の所有物だ!」とか「私が担保にとっているぞ!」
などと周囲にアピール手段のことです。
コンビニなどで商品を購入すると、すぐに商品をもらって帰れます。
なのでわざわざ登記なんてしなくても「私のものだ」ということが明白です。
しかし、不動産はどうでしょうか?
持って帰れないですよね。
居住用で購入した不動産なら毎日家に帰って自分が住んでいるので
日常生活をしていれば所有権について不安に思うことはあまりないかもしれません。
しかし、例えば遠方の不動産を購入した場合どうでしょうか?
持って帰れないし、自分がずっと住んでるわけではないので不安ですよね。
そこで「本当にあなたのものなの?」と言われたときに
「私のものだ!」と胸を張って主張することがでる制度が「不動産登記」なのです。
登記されていない建物
新しく家を建てた場合も登記をします。
しかし、ごく稀にこの登記がされていないことがあります。
建物を建てたときの登記の流れ
建物を建てたときの登記の流れはこんな感じです。
①土地家屋調査士によって「表題登記」をする ②司法書士によって「保存登記」をする |
表題登記とは、その建物の概要(所在地や構造、床面積など)を登記することです。
保存登記とは、表題登記がされた建物の所有者を登記することです。
この①の表題登記がされていない建物のことを「未登記建物」と言います。
表題登記は義務なので、家を建てたら必ず表題登記をしなければいけません。
しかし昔の建物などで表題登記がされてないことが稀にあります。
では、この登記されていない建物の所有者が亡くなったときどうなるのでしょうか?
未登記建物の相続
未登記建物は登記はされていませんが、
その建物が存在し、被相続人が所有していたのであれば
当然相続財産となり相続人に所有権が移転します。
登記されている建物であれば相続による所有権移転登記をすればいいのですが、
登記されていな未登記建物の所有者が亡くなった場合はどうするのでしょうか?
未登記建物も遺産分割の対象となる
未登記建物も相続財産として、遺産分割の対象となります。
しかし、そもそも登記されていないので
遺産分割協議をしても相続による所有権移転登記をすることはできません。
このような場合でも、きちんと遺産分割協議をして
遺産分割協議書に未登記建物を記載するという方法をとります。
未登記のデメリット
未登記のままにしておくことで様々なデメリットがあります。
①第三者に「私のものだ」と主張できない ②ほぼ売却できない |
①冒頭にも少し書きましたが、登記は第三者対抗要件です。
登記をしていないことで、何かあったときに「私のものだ」と主張することができません。
②所有権移転登記は表題登記と違い義務ではありません。
なので未登記建物でも売買契約自体は可能ですが、
登記されておらず第三者に「私のものだ」と主張できない建物の売買は現実的には難しいです。
そして何より、表題登記は義務です。
未登記建物の所有権を取得してから1か月以内に表題登記をしなかった場合、
10万円以下の過料が課されます。
役所への届出をお忘れなく
未登記建物でも、役所はその建物の存在を把握しています。
なので未登記建物にも毎年納税通知書が届いて税金の支払いをします。
そこで遺産分割協議などで建物の所有者が変更されたときは、
管轄の役所に届出をして固定資産税の請求先を変更してもらう必要があります。
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