相続・遺言コラム
2022.11.19
清算型遺贈とは?遺された相続人はどうしたらいいの?
- 生前対策
「清算型遺贈」について
遺言書の書き方は様々です。
あそこの賃貸不動産は長男に残そうかな、
現金は少し多めに次男に残したほうがいいだろうな、
など、誰にどの財産を遺そうかなと思案しているうちにふと頭によぎることが。
自分の住んでいる不動産はもう誰も住まないだろうし、よく面倒をみてくれた姪と甥に残してあげたいな。
けど、2人とも家を持ってるし、不動産なんて残されても迷惑だろうか、、
売却するにしても手続きも大変そうだし、何かいい方法はないかな?
こんな場合に検討するのが「清算型遺贈」という形で遺言書を書いておくことです。
清算型遺贈とは
冒頭では遺言する側の気持ちを書きましたが、
もらう側の気持ちとしても、財産を遺してくれるのは有難いけれど、不動産を遺されても自分が住むわけではないし、
売却するにしても手続きや管理などが大変そうだな。と考える方は多いと思います。
そんなときに清算型遺贈をしておくことで
もらう人は不動産売却後の現金をもらえるので負担は殆どありません。
売却後の現金がもらえるってどういうことかというと、
清算型遺贈とは、不動産などの財産を売却してその売却代金で被相続人の債務を弁済して残りの現金を遺贈する遺言のことです。
「不動産などの物を遺す」のではなく、1歩踏み込んでその不動産を売却して現金を遺贈するのです。
清算型遺贈のメリット
・相続人間の協議不要⇒相続人同士が不仲な場合でも手続きがスムーズに進む
・すべて登記や不動産売却など遺言執行者で手続きができる⇒相続人や受贈者の負担が少ない
・住まない家を相続して空き家が増えてしまうことを防ぐことができる
遺言書の書き方に注意
それでは、いざ清算型遺贈をしたいと思った場合、
遺言書はどのように記載したらいいのでしょうか?
例えば今回の場合だとこんな感じでしょうか。
遺言者は、遺言者所有の下記不動産を換価処分し、 その代金から遺言執行費用や遺言執行者の報酬、売却手数料、不動産譲渡職税等の費用を控除した残額の2分の1を姪○○に、 2分の1を甥△△に遺贈する。 |
※あくまで一例です。書き方については作成時にきちんとご案内させていただきます。
譲渡所得税に注意
清算型遺贈は一旦相続にへ相続登記をするため、
譲渡所得税が法定相続人に課税されてしまいます。
最終的に遺贈を受けるわけではない相続人が税金だけ払うって違和感ありますよね。
そのため譲渡所得税なども売却代金から支払うとする方法が一般的です。
いきなり売却はNG!?清算型遺贈の登記の流れ
先程さらっと書いたのですが、清算型遺贈により第三者へ不動産を売却する場合、一旦相続人への相続登記が必要です。
なので、2回の登記をすることになります。
①相続人への相続登記 ②売買による所有権移転登記 |
これは、どちらも遺言執行者が申請人となることができます。
①まずは相続登記をする
清算型遺贈の場合、まずは法定相続人へ相続登記をします。
遺言執行者が申請人となることができるので、
相続人間の協議も不要ですし、法定相続人の負担は最小限で済みます。
②次に売買による所有権移転登記をする
相続登記が終わり無事相続人名義になったら、次は売買による所有権移転登記です。
(①と②を同時に申請することは可能です)
不動産を購入したい第三者と共同申請になります。
権利者:不動産を購入する第三者
義務者:相続人
この「義務者:相続人」は遺言執行者が申請人となるため、
こちらも相続人の負担は最小限です。印鑑証明書の取得なども不要です。
ここまで読んでいただいて「遺言執行者の負担結構あるな、、」とお気づきになったでしょうか?
遺言執行者は登記申請以外にも仕事が沢山あります。
なので、清算型遺贈をする場合は遺言書作成時に信頼できる専門家を遺言執行者に指定しておくことをお勧めします。
遺言書で専門家を遺言執行者に指定しておいたほうがいい理由
遺言執行者はやることが沢山あります。
沢山あるだけなく、専門的な知識が必要な場面も出てきます。
例えば、不動産を処分するまでの不動産の管理や、賃貸物件であったら賃料の受領管理、
被相続人の債務の弁済、登記申請人になるなど、今回の限られた事例でぱっと思いつくだけでもやることは沢山あります。
これを専門的な知識がない親族がやることはできるでしょうか?
不可能とは言いませんが、かなり負担は大きいですし、手続きがスムーズに進まないといったことも考えられます。
清算型遺贈の場合は、費用がかかっても遺言執行者を司法書士や弁護士などの専門家に指定しておくことをお勧めします。
遺言書のことはふくおか司法書士法人へ
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