相続・遺言コラム

2021.12.21

遺言書の付言事項とは

  • 生前対策

「みなさんが幸せであるよう祈っています。ありがとう。」

ある日、相続登記で遺言書を確認していて目に留まった一文に、
少しうるっとしてしまいまいました。

ありふれた言葉といえばそうなのですが、
このシンプルな一言に、
残された人を思う遺言者の想いを感じました。

これは遺言書の最後に記載されていた「付言事項」という項目の中の一文です。
付言事項とは何なのでしょうか。

付言事項とは

付言事項とは、一言で表すならば「法的効力が認められない遺言者の想い」です。

遺言書には「付言事項」と「法定遺言事項」というものがあります。

 

付言事項 遺言書に記載しても法的効力は認められないもの 葬儀・納骨や遺言者の想いについて記載する
法定遺言事項 遺言書に記載することによって法的効力が認められるもの 財産の処分や遺言執行者指定について記載する

 

遺言書と聞いて一般的に想像するのは「法定遺言事項」であり、
「長男〇〇に土地を相続させる」や「妻〇〇に全財産を相続させる」など
遺言者の財産の分配方法について記載されているものだと思います。

それとは別に、法的効力は認められないけれど、
残された相続人に伝えたいことやお願いを記載するのが付言事項なのです。

付言事項にはどんなことを書くの?

法的効力は認められませんが、自由に遺言者の想いやお願いを記載することができます。
例えば、

・遺留分侵害請求はしないでほしい
・葬儀は〇〇に取り仕切ってほしい
・納骨方法はこうしてほしい
・兄弟みんなで仲良く暮らしてほしい

等、様々です。

では、法的効力が認められないことを書く意味やメリットはあるのでしょうか?

付言事項を書くメリット

先にも書きましたが、付言事項は自由に遺言者の想いやお願いを記載することができます。
なので、杓子定規にかかれた法定遺言事項よりも、
場合によっては残された人への影響は大きいのです。

遺留分を侵害するような遺言内容になっている場合、最後に一言

「私の財産のことで争うようなことは望みません。
遺留分を侵害するような内容だけれど、どうか遺留分侵害請求などせずに最後の私の想いを受け止めてください。」

と想いを書くことによって争いを避けることができることもあります。

 

また、財産をもらうことを遠慮している人に対して

「感謝の気持ちを込めて私の財産を全て渡します。どうか受け取ってください。」

と書くことで
遠慮なく受け取りやすい状況が生まれることもあります。

 

他にも、納骨方法について明確に記載しておくことによって希望を叶えてもらえる可能性が高くなります。

まとめ

今回は遺言書の付言事項についてご紹介しました。
遺言書作成の際は是非相談されてみてくださいね。

葬儀や納骨方法について

葬儀や納骨方法については「死後事務委任契約」を公正証書にすることができます。
死後に行う事務全般について親族等と細かい内容を取り決めておくことができます。
「公正証書遺言+死後事務委任契約の公正証書」をすることも可能ですので、
葬儀や納骨方法について希望がある場合はこれも合わせて検討されてみてください。

遺言書の作成についてはこちらをご覧下さい。

https://fukuoka-souzokuyuigon.com/souzoku-yuigon/

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