相続・遺言コラム
2021.12.07
未成年者と不動産登記
- 登記
未成年と不動産登記について。
未成年者は民法上「制限行為能力者」として、様々な法律行為が制限されています。
例えば、家を借りたり(賃貸借契約)、お金を借りたり(金銭消費貸借契約)といったことは
法定代理人(主に親権者)の同意なくしてできないのです。
あら?うちの子、今度、不動産を相続するけどこれはどうしたらいいんだろう?
売買はできるの??等、疑問が浮かんできます。
未成年者も不動産を取得して登記名義人になれる
未成年者は「法定代理人の同意なくして」法律行為ができないのです。
なので、法定代理人の同意があれば不動産を取得して登記名義人になることができます。
赤ちゃんも登記名義人になれる!?
赤ちゃんも登記名義人になれます。
不動産登記名義人になれるのは、「権利能力」を有する者なのです。
権利能力とは、法律上の権利・義務の主体となることができる資格のことで、
人間(自然人)は出生から死亡まで権利能力があります。
なので、赤ちゃんだって、産まれた瞬間から権利能力があるので、不動産名義人になれるのです。
胎児も登記名義人になれる!?
これは司法書士受験界では有名な知識なのですが、
胎児も登記名義人になれる場合があるのです。
先程、人間(自然人)は出生から死亡まで権利能力がある。とお伝えしましたが、
これには例外があります。
<権利能力の例外> ①不法行為に基づく損害賠償請求 ②相続 ③遺贈 |
この場合には、胎児も生まれてきたことを条件にさかのぼって権利能力を取得するのです。
「・・・?」ですよね。
こんな感じです。
①令和3年10月1日、胎児の父が亡くなり相続が発生しました
②その後、胎児は無事生まれてきました
本当は①の相続発生時に生まれないので権利能力はありません。
しかし、②で生まれたことによって、①にさかのぼって相続できるようにしよう。
ということです。
なので、不動産登記実務では「胎児名義でも登記できる」のです。
登記名義は「亡A妻B胎児」です。(A:父の名前/B:母の名前)
因みに、「じゃあ胎児のかわりに遺産分割協議をする」とかはできませんのでご注意ください。
法定代理人が未成年者を代理し登記申請を司法書士に依頼する
未成年者も登記名義人になれますが、司法書士等に登記手続きを委任する行為は単独で行えません。
なので、法定代理人が代理して行います。
<ちょっとこまかい話>
×未成年者は法定代理人の同意なくして「売買契約」はできません。
〇しかし、法定代理人の同意を得て売買契約を行った後の「登記申請行為」は法定代理人の同意なしにできます。
×しかし、この登記申請を司法書士等に「委任する行為」は、やはり法定代理人の同意が必要なのです。
親権者が法定代理人として手続きできないこともある
未成年者が制限行為能力者となり、単独で法律行為ができないのは、
あくまで「未成年者保護」のためです。
なので、未成年者と親権者の利益が衝突してしまう場合は、
親権者は法定代理人として未成年者の代理にとなることができません。
このような取引のことを「利益相反取引」と言います。
親権者が法定代理人として手続きできない事例
この場合は、未成年者を代理する「特別代理人」選任の申立を裁判所に行い、
選任された特別代理人が未成年者の代わりに様々な手続きに関与していきます。
遺産分割協議
1つの財産を分け合うための話し合いです。
例えば、父名義の土地を母と子で遺産分割協議をする。
この場合、母と子の利益が衝突してしまいます。
母が多くもらえば、子の取り分が少なるからです。
この場合、母は子の法定代理人として遺産分割協議ができないので、
特別代理人の選任が必要です。
買主・売主となる売買契約
子から親へ、親から子へ
といった売買契約も利益相反取引となります。
どちらかが得をすると、どちらかが損をしてしまうからです。
たとえ、子が得をする結果となるとしても特別代理人の選任が必要です。
親権者が法定代理人として手続きできる事例
この場合は親権者が法定代理にとして手続きが可能です。
どちらも買主又はどちらも売主となる売買契約
親が1/2、子が1/2を所有する不動産を第三者に売却する場合は
親と子は、どちらかが得をするとどちらかが損をしてしまうという関係にはありません。
なので、親権者が法定代理人として売買契約や登記申請が可能です。
まとめ
未成年者は法定代理人の同意を得ることで不動産売買や遺産分割協議等の法律行為を行うことができます。
そして、同意をする法定代理人は、
第一に親権者、親権者が利益相反の関係にある場合は特別代理人となります。
未成年者の取引は、様々な制限があり、
慎重に進めなければなりません。
お困りの場合は、是非、専門家へご相談されてみてくださいね。
相続・遺言問題でお悩みの方に
正確で確かな「解決力」を
相続・遺言手続センター福岡は相続問題をワンストップで解決する相続・遺言の専門家集団です。
相続には期限や法的判断の難しい手続きも多く、専門的な知識が必要とする場合があります。相続・遺言の専門家に相談することで大切な資産を守ることにも繋がりますので、早めの対策が望ましいです。
- 遺産相続に関する手続きを一括して任せたい
- 土地や建物の名義変更の手続きをしてほしい
- 相続手続き、何から始めたらいいのか分からない
- 終活として遺言書を作成したい
など、相続問題は置かれている状況に応じて様々。相談者ごとに、一番最適なプランで問題解決に当たります。
私たちは相続・遺言の専門家として、相続問題にお困りのご家族に寄り添い、今後安心した生活を送れるようサポートします。