相続・遺言コラム

2022.06.30

相続登記で不動産を胎児の名義にすることはできる?

  • 登記
  • 相続手続き

少し前のコラムで紹介した、
枝を切っていいだのいけないだのと同じくらい
司法書士受験生界では有名な話。

胎児は不動産の登記名義人になれるの??
というコラムです。

これもあまり頻繁に起こることではないので、
「ふうん」という感じで読んでもらえると嬉しいです^ ^

不動産の登記名義人になれる人

まず、不動産の登記名義人になれる人は決まっています。
誰でもいつでもなれるというわけではありません。

登記名義人になれる人は実体法上、権利能力を有する者のみです。
実体法上、権利能力を有する者とは「自然人」「法人」のことです。

ざっくりいうと、
自然人=人
法人=会社
です。

え?だいたいどっちかやん、、
と思うのですが、
例えば「会社」。
設立登記前の会社は、まだ法人格を有おらず正式は法人ではないので、
不動産の登記名義人にはなれません。
設立登記後に不動産登記名義人になることができます。

他にも権利能力亡き社団・財団と言われる
町内会やボランティア団体などについても
不動産の登記名義人となることはできません。

人も法人も
生まれる(設立登記)前はダメかな、
生まれた(設立登記)後はいいかな
というイメージです。

この流れでいくと、
胎児は生まれる前なので登記名義人になれなさそうですがどうでしょうか?

胎児は登記名義人になれる

胎児って、ご存知のとおり、まだ生まれてきてないんですよね。
なので設立登記してない法人は権利能力がないから、
登記名義人になれないよねって理屈でいくと、
胎児も登記名義人になれない気がします。

しかし民法の規定で
相続と遺贈に限っては、胎児は生まれたものとみなして権利能力を有する。
とされており、胎児でも不動産の登記名義人になれるのです。
では、いつから生まれたものとみなされて胎児名義で登記ができるのでしょうか?

いつから胎児名義で登記できる?

生まれたものとみなされて胎児名義で登記できるタイミングには
2つの説があります。

説①:停止条件説 無事に生まれたときに登記ができる。効力発生日は相続開始時点に遡る。
説②:解除条件説 相続開始時(胎児の時点で)に登記ができる。もし胎児が死んで生まれた場合、相続開始時点に遡って相続人ではなかったことになり更正登記をする。

不動産登記では、説②をとっており、
相続開始時点で胎児名義で登記ができる取扱いになっています。

事例

父A
母B
胎児

A名義の不動産がありましたが、4/1にAが亡くなりました。相続開始です。
説②でいくと、この相続開始時点で胎児名義の不動産登記が可能です。
こんな感じで登記されます。

原因:令和4年4月1日相続
相続人:持分2分の1B
持分2分の1亡A妻B胎児

そして、6/6に胎児が無事生まれました。
この場合、住所と氏名変更登記をします。
原因:令和4年6月6日出生

万が一胎児が死亡した場合、更正登記をします

胎児の遺産分割協議について

胎児が生まれたものとみなされるのは
あくまで「相続・遺贈のとき」です。

なので、胎児に代わって遺産分割協議をしてその結果をもとに
不動産登記をするということはできません。

まとめ

まだ名もない胎児名義で不動産登記ができるって
初めてきいたときは驚きでした。

なぜこのような取扱いになっているかというと、

例えば、5/1に相続開始 5/2に出生
となった場合、1日生まれるのが遅かっただけで相続権がないのはいかがなものか。
それなら、胎児であるからには、かなり高い確率でこの世に生を受けるはずだし
先に権利能力があるということにして相続させてしまおう。
という考えのようです。

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