相続・遺言コラム

2021.08.03

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議について

 親は子の法律行為を代理します。しかし、遺産分割協議の代理人にはなれません。

「相続」と聞いたら高齢者のイメージがありますが、残念ながら若くしてお亡くなりになる方もいます。

その場合、遺された家族=相続が未成年者であることもあります。

  相続する権利については、その相続分が法律に定められています(※民法900条)が
  共同相続人は、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる、と定められいます(民法907条)

よって、相続分が多い少ないに関わらず、相続人間での合意があれば複数の相続人のうち一人がまるっと全部相続財産をもらいます、という協議も可能です。

でもこれは、相続人が「法律行為ができる」という前提が必要です。遺産分割協議、という名の話し合いも「法律行為」に他ならないからです。

通常、未成年者の法律行為は親が子を代理します。しかし、遺産分割協議については、その多くが親が子を代理できません。なぜならば、親と子が共同相続人であり、互いが利害関係人である場合が一般的だからです。

 未成年者の代理人(特別代理人)を家庭裁判所に選任してもらいます。

では、相続人が未成年者の場合、遺産分割協議はできないのか、というとそうではありません。

家庭裁判所に対し、未成年者を代理して協議をする「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議をすることになります。

特別代理人の選任手続きは未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

申立書には未成年者・親権者の戸籍謄本・特別代理人候補者の住民票や相続財産一覧と合わせて遺産分割協議書(案)を添付します。

候補者には、専門家が立つ場合もありますが、共同相続人以外の親族を立てることも可能です。

  未成年者の権利は守られなければなりません。

ここで大切なのは、未成年者の権利は守られなければならない、ということです。

申立ての時点で、遺産分割協議書(案)を添付しますが、その案は、少なくとも未成年者の法定相続分は守られた協議内容である必要があります。

「若くして夫が亡くなりました。

遺された妻は小さな子供を育てていくためにお父さんの財産を全部相続します」

という話は一般論として受け入れられる話のように聞こえますが、特別代理人を選任しての協議にこの案は原則的には認められません。なぜならば、子(未成年者)の権利を侵害していることになるからです。

「不動産をお母さんが相続する代償として、子に〇〇円ずつ払う、などの協議をすることが多いです。」

 未成年の子がいる方人には遺言書の作成をおすすめします。

筆者には、妻と2人の子がいます。

特別代理人の選任が必要な相続手続きを受任するたびに感じること。

それは、「遺言書作成の必要性」です。

 被相続人は、民法での定められた相続分に関わらず、遺言で、共同相続人の相続分を定めることが出来ます。(民法902条)

前記の例で考えると、夫が「全財産を妻に託します、妻を遺言執行者に定めます」

と遺言書を遺していたら、家庭裁判所に対し特別代理人の選任を申し立てる必要もないし、子ども達にも相続させる必要がなかった、ということになります。

特別代理人の選任は子供の権利を守るために、必要な手続きではありますが、その協議内容は柔軟性を持つことが難いのが現実です。

筆者としては、若い人でかつ幼い子供がいる働き世代には、遺言書の作成をお勧め致します。

 

 

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