相続・遺言コラム
2024.02.14
戸籍の附票とは
- 相続手続き
もうどれくらい前になるか、
私は全くの異業種からこの世界に飛び込んできました。
なのでお恥ずかしい話ですが「ザ・事務作業」みたいなことが全然できませんでした。
コピー機の使い方も分からないし、
メールでの礼儀とやらも分からない。
郵便物の出し方や扱い方も当然分からなくて、
けど、それが非常識だということだけはよく分かっていました。
なので周りの人に聞きづらく、いちいちネットで調べては「何か変なことしてないかいな?」
とびくびくしながら仕事をしていたのを今でも昨日のことのように覚えています。
そんな私にとっては、戸籍なんて雲の上の存在。
人様の戸籍集めなんて、自分の人生には一生関わり合いがないものだと思っていました。
そんな戸籍集めの中でも、本当に理解しがたかったのが戸籍の附票です。
だって、「戸籍」と名乗っておきながらその正体は住所の証明とのこと。
まず、名前からややこしい。
さらに住所の証明のはずなのに「本籍地がね、、」と先輩から説明されてパニック。
え?住所の話どこいったん?もう本当に何言ってるかよく分からない。仕事辞めたい、、
と思ったり思わなかったりした日々もありました。
ちょっと前置きがながくなりましたが、
今日はそんな戸籍の附票について私なりにまとめてみました。
戸籍の附票とは
戸籍の附票を一言で表すと、
本籍地に紐づいた住所の歴史です。
住所の歴史というだけあって、戸籍の附票を取得するとこれまで自分が移り住んできた住所の確認ができます。
そしてポイントになるのが、「本籍地に紐づいた」というところで、
例えば結婚などで本籍地が変わっている人が自分の生まれてから現在までの住所の履歴を確認したい場合、
結婚前の本籍地と結婚後の本籍地で戸籍の附票を取得しなければいけません。
※大前提として、、戸籍の附票は本籍地でしか取得ができません。
具体例でみていきます。
例えば、Aさんが1984年に下関市で生まれました。
本籍地も父親の本籍地である下関市です。
その後、本籍地はそのままで住所を転々とします。
下関市⇒鳥取市⇒岡山市⇒下関市⇒福岡市南区
そして、2015年に結婚して夫の籍に入籍します。
本籍地は夫の実家である福岡市になりました。
同時に住所が福岡市西区⇒福岡市中央区と変わります。
ではここで問題です。
Aさんの生まれてから現在の住所の履歴を全て確認したい場合、どこで戸籍の附票を取得したらいいでしょうか。
戸籍の附票は本籍地に紐づいているので、Aさんの移住を本籍地ごとに色分けしてみました。
チーム下関が黄色で、チーム福岡が青色です。
下関市で戸籍の附票を取得すると、
黄色グループの「下関市~福岡市南区」までの住所しか確認できません。
一方福岡市で戸籍の附票を取得すると
青色グループの「福岡市西区~福岡市中央区」の住所しか確認できません。
なので、Aさんの全ての住所の履歴を確認したい場合、
下関市と福岡市でそれぞれ戸籍の附票を取得する必要があるんです。
例えばこれが、結婚しても本籍地は下関市のままだったよ~
という人であれば、全て黄色グループになるので、
下関市で戸籍の附票を取得すると生れてから現在までの住所の履歴が全て確認できます。
ではこの戸籍の附票にはどんなことが記載されているのでしょか
戸籍の附票の記載事項
戸籍の附票には、一般的にこんなことが書かれています。
・本籍地※1
・筆頭者の氏名※1
・住所とその定住日
・生年月日※2
・性別※2
※1 本籍地と筆頭者の氏名は原則省略されるため、記載してほしい場合は申告が必要です
※2 生年月日と性別は令和4年1月11日から追記された項目なので、それ以前に消されたり改正された附票には記載されません。
ではここまで戸籍の附票について説明してきましたが、
一体どんなときに使うのでしょうか。
戸籍の附票はどんなときに使うの?
戸籍の附票は相続登記をするときに必要になることがあります。
どんな相続登記で必要か具体例でみていきます。
福岡太郎は平成4年に土地を購入しました。
このときの住所は「福岡市西区12345番地」でした。
福岡太郎は令和5年1月1日に死亡しました。
このときの住所は「福岡市中央区12333番地」です。
福岡太郎が亡くなったので、土地を名義変更(相続登記)する必要があります。
この相続登記をするときに住民票の除票の提出が必要なんですが、
福岡太郎の住民票の除票を取得すると住所の欄には「福岡市中央区12333番地」と記載があります。
しかし、土地の登記簿には購入時の住所である「福岡市西区12345番地」と記載があります。
この書類だけみると、1つの疑念が。
「福岡市西区12345番地」の福岡太郎さんと
「福岡市中央区12333番地」の福岡太郎さんって本当に同一人物なの?
この疑念を晴らすべく登場するのが戸籍の附票です。
同一人物なの?を解消するのが戸籍の附票
同一人物なの?の疑念を晴らすためには、
今回亡くなった中央区の福岡太郎が
土地購入時である平成4年4月1日に「福岡市西区12345番地」に住所があったことを証明すればいいわけです。
そうです、過去に遡って住所の歴史が分かればいいんですよね。
そこで登場するのが、住所の歴史を確認できる戸籍の附票というわけなんです。
戸籍の附票を取得して、平成4年4月1日に「福岡市西区12345番地」の住所が出てくれば、
めでたく同一人物と認められて相続登記を進めることができます。
しかし、めでたしめでたしといった事例ばかりではありません。
実は、戸籍の附票には保存期間が定められていて、
その期間を過ぎると廃棄されてしまうんです。
(保存期間は現在は150年ですが、以前は5年でした)
廃棄されている場合は廃棄証明書などが別途必要になるので、司法書士へご相談ください。
相続のことならふくおか司法書士法人へ
今日は私の苦い思い出、戸籍の附票についてまとめてみました。
戸籍の附票は相続登記のときに取得が必要だったり必要なかったりと、状況に応じた対応が求められます。
ふくおか司法書士では相続登記時の書類の取得も全て代行しているので、
自分であれこれ悩む必要はありません。
相続登記をお考えの方はぜひふくおか司法書士へご相談ください。
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