相続・遺言コラム

2023.03.20

未成年者の特別代理人選任について

  • 相続手続き

少し前に 未成年と不動産登記 というコラムを書きました。

その中で、親権者が法定代理人として代わりにできないことの1つに「遺産分割協議」があり、
やるんだったら特別代理人の選任が必要ですよとさらっと書きました。
今日はこの特別代理人選任についてまとめてみました。

未成年者ができることとできないこと

未成年者は原則として単独で法律行為を行うことができません。
スマホの契約とかダメですし、
未成年者が時計をもらう代わりに店番する(負担付き贈与)とかも本当はダメです。
そんな未成年者の単独でできる行為の代表例が「お小遣いを自由に使う」でしょうか。
他にもいくつかあるのですが、要は「未成年者は絶対に損しないよね」
という行為が単独でできることとされています。
例えば、借金免除してもらうとか、負担なし贈与(無条件で時計をもらう)とかだったらOKとされています。

じゃあ未成年者が単独でしたらダメですよー
と言われている法律行為をしたい場合どうするのか?というと親権者の登場です。
親権者が代わりにやったり、同意をすることによって色んな契約ができたりするのです。

今回はこの未成年者が「遺産分割協議」をするときのお話です。
未成年者は単独で遺産分割協議をすることはできません。
なので、誰かに代わりにやってもらわないといけないんですよね。
そして殆どのケースで、この代わりを親権者が務めることができないので話がややこしくなってきます。

なぜ親権者は未成年者の代わりに遺産分割協議ができないのでしょうか。

親権者が遺産分割協議を代わりにできないの何で?

これは「利益相反」という行為に当たるからなんです。
利益相反を私なりに説明すると「あちらを立てればこちらが立たず」です。
どちらか一方が得をすると、もう一方が損をしてしまう状況のことです。

では遺産分割協議において親権者と子が「あちらを立てればこちらが立たず」
になってしまうというのは一体どういうことでしょうか。

遺産分割協議と親権者と子

遺産分割協議とはその名の通り
誰かの「遺産」を相続人で「分け合う(分割する)」ための「話し合い(協議)」です。

例えば父母子の3人家族がいたとします。
父が亡くなり、遺産は現金500万円です。
これを母と子で遺産分割協議をします。
子は遺産分割協議ができないので母親が代理人になって協議するとします。
すると、父の500万円の遺産を「母と母(この代理人)で話し合って分け合う」
というよく分からない状況になります。
この状況で未成年者が絶対損しないと言い切れるでしょうか?
法律は、この状況で未成年者が絶対に損しないとは言い切れないと判断します。
なので、親権者は未成年者の代理人として遺産分割協議ができないんです。

因みに、これはあくまで親権者と子が利益相反の関係になってしまう場合に代理人になれませんよ。
という話なので、例えば子だけが相続人で父の兄弟と遺産分割協議をする場合などであれば
母親が代理人として遺産分割協議ができます。

では、親権者が代理人になれない場合、遺産分割協議は誰がするのでしょうか。

誰が未成年者の代わりに遺産分割協議をするの?

じゃあ誰が代わりにやってくれるの?というと、
ここで「特別代理人」の登場です。

特別代理人とはその名のとおり特別な代理人のことです。
これは未成年者の遺産分割協議のときだけ登場するわけではなく、
例えば、抵当権抹消したいけど債権者である法人が閉鎖(清算結了)してしまっている
などの場合もこの特別代理人が登場します。

特別代理人は勝手に選ぶことはできず、
きちんと家庭裁判所に申立をして家庭裁判所が選任します。

特別代理人の選任の流れなどについてご紹介します。

特別代理人を選任したいけどどうしたらいいの?

特別代理人の選任申立は誰でもどこでも申立できるわけではありません。
◇申立人:親権者又は利害関係人
◇管轄裁判所:未成年者の住所地の家庭裁判所へ

そして肝心の特別代理人って誰がなるの??ですが、
候補者を立てることができます。
資格制限はないので、未成年者と利益相反の関係になる人でなければ誰でも候補者に名乗り出ることができます。
実際、身内の方が候補者として申立をすることもあります。
身内にお願いできる人がいなければ、申立を依頼している司法書士が候補者になることもできます。

そしていざ申し立てるときの費用や選任までの期間の目安は以下のとおりです。
◇費用:印紙代800円と切手代1000円くらい(申立をする裁判所によって異なります)
◇期間:申立から選任されるまで一般的に約1か月程度

特別代理人選任申立書時に遺産分割協議書案をつけて申立をします。
裁判所がこの遺産分割協議案のどこを気にしているかというと「未成年者の利益は守られているか?」ということです。
守られているか?というのが具体的にどういったことかというと、
法定相続分を下回ってないか?ということです。

そして選任された特別代理人が未成年者に代わってこの遺産分割協議に捺印をして
無事遺産分割成立ということになります。

あとは、この遺産分割協議書を使って必要な手続き(預貯金の払い出しや登記申請など)をしていきます。

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