相続・遺言コラム

2022.10.30

不在者財産管理人を利用した抵当権の抹消

  • 登記

最近よく「この抵当権を消したいけど、抵当権を付けた人が誰なのかよく分からないんです、、どうしたらいいですか?」
といったご相談をいただきます。

この「誰だかよく分からない抵当権を付けた人」が会社の場合は、その会社の登記簿などを調べて、
その会社は解散・清算結了されていれば特別代理にの選任をしてその特別代理人と一緒に抵当権を抹消するという手段がとれます。

では、この誰だかよく分からない抵当権を付けた人が個人だった場合はどうでしょうか?
会社と違って個人については、登記簿のように公開されている情報はありませんし、
インターネットなどで何か情報をつかもうと思っもなかなか出てくるものではありません。

そこで登場するのが、「不在者財産管理人」とう制度です

不在者財産管理人とは?

不在者財産管理人はをすごくざっくり説明すると、
その名のとおり不在者の財産を管理する人のことです。
家庭裁判所に不在者財産管理人の申立をするのですが、その裁判所のHPにはこんな風に記載されています。

不在者財産管理人

従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に,
家庭裁判所は,申立てにより,不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため,
財産管理人選任等の処分を行うことができます。
このようにして選任された不在者財産管理人は,不在者の財産を管理,保存するほか,家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で,
不在者に代わって,遺産分割,不動産の売却等を行うことができます。

生死不明の場合も不在者となりますし、親族(推定相続人)の有無は関係ありません。
とにかくその人自身が不在者である場合に利用する制度です。

ちょっと似てる制度 相続財産管理人とは

ちょっと字面が似てるので混乱してしまうのですが、相続財産管理人という制度もあります。
不在者財産管理人と同様、家庭裁判所に申立てをするのですが、その裁判所のHPにはこんな風に記載されています。

相続人の存在,不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして,結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)には, 家庭裁判所は,申立てにより,相続財産の管理人を選任します。
相続財産管理人は,被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い,清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
なお,特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する相続財産分与がなされる場合もあります

「相続財産」というだけあって、その人自身は亡くなっていて、
本来相続されるべき財産が相続人がいないことによって管理する人がいない状態のことです。
この相続人がいないとは、亡くなった人が生涯独身で親もなくなって兄弟や子供も元々いなくて完全に相続人が0の場合
相続人自体はいたんだけど皆相続放棄しちゃって結果、相続人がいなくなった場合などを指します。

 

どちらも問題なのは、その不在者や亡くなった人が財産を持っていた場合にその財産どうするの?ということです。
いくら親族とはいえ勝手に抵当権抹消の手続きはできないし、
本人が亡くなっている場合に本来手続きすべきである相続人が全くいないとなると、その抵当権は永遠にそのままなのでしょうか、、

この問題を解決すべく、不在者財産管理人や相続財産管理人という制度があります。、
利害関係人が家庭裁判所に申立てをすることによって、その人の代わりに財産の処分などをしてくれる人を選任して
手続きを進めましょうということなのです。

では、定義がわかったところで本題の「抵当権抹消」はどのように進めていくのでしょうか。

不在者財産管理人と抵当権を抹消する

登記手続きの話になりますが、所有権移転や抵当権抹消などの登記申請をしたいなと思ったら
殆どの場合、権利者と義務者の共同申請によって手続きを進めます。

抵当権抹消だとこんな感じになります。
権利者:不動産の所有者
義務者:抵当権を付けた人(「抵当権者」といいます)

今回は、この義務者である抵当権者がどこの誰だか分からない場合に、
不在者財産管理人や相続財産管理人の申立をして、その管理人と一緒に手続きを進めていきましょうという手続きになります。

登記申請までの流れ

不在者の調査をする

家庭裁判所に不在者財産管理人の申立をする

不在者財産管理人が選任される

抵当権抹消登記申請

不在者の登記簿の住民票の取得や取得できない場合は不在住証明書の取得、
登記簿の住所に郵便物を送ってみたり現地を見に行ったりと様々な調査をして不在であることの書類を集めて家庭裁判所に資料を提出します。
申立ができるのは利害関係人です。
今回は抵当権がついている不動産の所有者が利害関係人として申立てをしていきます。

申立の費用(目安)

実費:800円
予納金:10万円~100万円程度(案件や管轄裁判所により異なります。事前にご相談ください)
予納郵券:2000~3000円程度(裁判所により異なります)
その他:戸籍や謄本取得などの実費、司法書士報酬などがかかります。

予納金の額に驚きを隠せません、、
これは不在者財産管理人に収める費用です。
予納なので、多めに支払って後から還付されることもあります。
予納金額は裁判官が決定します。

申立から選任審判までの期間

案件や管理人との日程調整にもよりますが、少なくとも数か月から半年程度はかかります。

登記申請の費用

抵当権抹消:不動産1個につき1000円
※住所変更などが必要な場合は別途費用が発生します

ふくおか司法書士法人までお問合せください

ふくおか司法書士法人では、不在者財産管理人の申立から登記手続きまでしっかりサポートいたします。

案件が複雑すぎて他の事務所では難色を示された、、といった案件でも喜んで対応いたします。
登記手続きでお困りの方はぜひ相続遺言サポートセンターふくおか司法書士法人までお問合せください。

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