相続・遺言コラム

2024.03.24

権利証が見つからない場合どうする?

  • 登記

先日のコラム 「知らない間に勝手に相続登記されてる!そんなことある?
の中で「権利証(登記識別情報)が発行されないので注意ください」
とさらっと書いたのですが、今日はその続き。
権利証が発行されていなかったり、紛失して手元にない場合はどうしたらいいの?
についてまとめてみました。

現在は登記識別情報という12桁の符号が権利証の代わりとして発行されていますが、
このコラムでは耳馴染みのある「権利証」で統一して進めていきます。

権利証は再発行できる?

まず、大前提としてお伝えしたいのは、
権利証は再発行できないということです。

初めから発行されていない場合や紛失した事情に関わらず、
後から権利証を発行することはできません。

なので権利証が必要な場面では、
権利証に代わる手段がいくつかあってそのうちのベストを選択して手続きに臨むことになります。

では、権利証が必要になるのはどんな場面なのでしょうか。

権利証が必要な場面とは?

自宅を購入したり相続して権利証が手元にある方、
その権利証をこれまでに使ったことがありますか?
その家に住み続けている限り「権利証を使いました!」
という方はあまりいないんじゃないかなと思います。

というのも、権利証ってすごく大切な書類ですが、人生の中であまり出番がないものなんです。
じゃあどんな時に権利証の出番がくるのかというと、主にこんなときです。

・家を売ったとき
・家を担保にお金を借りるとき(住宅ローンの借り換え含む)

権利証は、家を売ったり家を担保にお金を借りるときするときに
「間違いなく私がその不動産の所有者です!登記して問題ありません!」
と証明するために必要になるんですね。

じゃあそんな権利証が必要になったときに、
紛失していたりそもそも発行されていなかったりして手元になかったらどうしたらいいのでしょうか。

権利証が手元にない場合の3つの解決方法

当然ですが、権利証がないからといって不動産の取引ができなくなるわけではありません
権利証に代わる手段を使うことによって家を売ったり、家を担保にお金を借りたりすることができます。
その代わりの手段は3つあります。

①司法書士に本人確認情報を作成してもらう
②公証役場で本人確認をしてもらう
③事前通知制度を利用する

それぞれの特徴などについてご紹介します。

①司法書士に本人確認情報を作成してもらう

権利証が手元にない場合の代わりの手段として恐らく一番よく使われるのが
「司法書士に本人確認情報を作成してもらう」です。

司法書士と直接面談して、本人確認や不動産取得の経緯を話して、
権利証に変わる「本人確認情報」という書類を作成してもらいます。
これを印鑑証明書や他の必要書類と一緒に法務局に提出することで
権利証なくして不動産登記をすることができます。

メリット

・司法書士にお任せなので手間がかからない
より確実に登記できる方法なので、不動産売買の際はこの方法がとられる

後でご紹介する公証役場で本人確認は、平日に公証役場に出向いて本人確認をする必要がありますが、
司法書士の本人確認であれば休日対応や出張面談をしている事務所が多いので、
ご自宅や都合のいい場所で待ってれば司法書士が必要なことを全てやってくれます。
ふくおか司法書士法人ももちろん依頼者の方の都合に合わせて出張面談などしています

また、後でご紹介する「事前通知制度」では、登記申請後に書類のやり取りが必要となり、
そのやり取りをルールどおりにやらないと登記ができません。
お金は動いたのに登記できない、、なんて恐ろしいことにならないように、
不動産売買の際は本人確認情報の作成をして権利証の代わりとすることが殆どです。

デメリット

・他の方法と比べると費用が高い(相場で5万円程度)

大切な権利証の代わりとなる書類を、司法書士の職責を掛けて作成します。
なので、他の方法と比べると費用は高いです。

②公証役場で本人確認をしてもらう

権利証の代わりとして最寄りの公証役場に出向いて本人確認をしてもらうという方法があります。

メリット

・司法書士の本人確認情報に比べると費用が安い(3500円)

デメリット

平日に公証役場に行かないといけない
・公証役場との段取りや書類持参など手続きが少し煩雑

不動産の売買や住宅ローンの実行日(お金を借りる日)などは
事前に日にちが決まっていて、それがタイトだということもあります。
それに合わせて平日の決まった時間しか空いていない公証役場との段取りや
必要書類の準備などを考えると少し現実的ではないことが少なくありません。
また、公証役場に司法書士は基本的についてきませんので、
やり取りなど全て自分でやる必要があり、
ご高齢の方やそういったことが苦手な方も少し難しく感じるかもしれません。

③事前通知制度を利用する

事前通知制度とは、
登記申請後に法務局から「本人ですか?登記申請して大丈夫ですか?」とお手紙が届くので、
その返事をすることで権利証なくして登記申請をすることができる制度です。

「なんだ、簡単じゃん」って思うかもしれませんが、
結構厳密なルールに縛られています。
この厳密なルール=デメリットとなります

デメリット

・デメリットルール①お手紙の返事は発送から2週間以内に法務局に到着する必要がある
・デメリットルール②印鑑を間違ってはいけない

よく考えてみてください。
お手紙の返事を、相手が発送してから相手に到着するまで2週間しかないんです。
ちょっと油断したらアウトです。
そしてこのお手紙には登記申請時に押した印鑑と同じ印鑑で押印が必要です。
違う印鑑を押してしまった場合もアウトです。
アウトとは何を意味するのか?というと、登記申請が却下されます

登記が却下されるとどういう状況になるかというと、
お金を貸した側からしたら無担保で数千万円というお金を貸したことになります。
不動産を買った側からしたら数千万円の売買代金を払ったのに登記が売主のままになってしまうということです。
なので、不動産取引で事前通知制度が利用されることはほぼゼロです。

メリット

費用がかからない

盗難などの可能性がある場合

盗難や悪用される可能性がある場合には、
不動産の名義が勝手に変更されていないか確認したり、
場合によっては不正登記防止申出や登記識別情報の失効申出が必要になる可能性があります。
一度最寄りの司法書士事務所へご相談ください。

相続登記では権利証が不要

ここまで権利証が必要な場面で権利証が手元になかったらどうする?
という話を進めてきましたが、実は相続登記では権利証は必要ありません

なので相続登記したいけど、権利証が見つからないなと思ってもあまり焦る必要はありません。
ただ、被相続人(亡くなった人)の亡くなった時点の住所と登記簿上の住所が繋がらない場合などに
権利証が必要になることがあるので、大切に保管をしておきたいところです。

相続登記はふくおか司法書士へ

権利証がなくても様々な選択肢があるので登記手続きはできます。
特に相続登記は基本的に権利証は不要です。
登記手続きで何が必要か?どうしたらいいか?
など色々悩む前にぜひ登記の専門家である司法書士へご相談ください。
実はそんなに悩むことじゃなかったとサクッと解決して心配事がなくなるかもしれません。

相続登記はふくおか司法書士法人へお気軽にお問合せください

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